私的2012年読んだオススメWEB読み物等メモ やる夫スレ編(その1)


 2012年の読んだ作品ベスト20をまだ書き終わらずに、量の多いこちらを先にある程度終わらせておこうとしたら、きりの良いところまでと思っているうちに書き終わったので、ベスト20がいつ頃書き終えることができるかよくわからないから、年間ベストの時機を逸さないうちに、先にこちらを出しておこう。分量が多いので、やる夫スレをおすすめを2個、WEB小説とニコニコのTRPG動画のおすすめを2,3個に分割して投下する予定。「僕が」今年読み始めた作品のオススメなので、今年の作品じゃないのもあります。
 2012年はやる夫スレを非常に多く読み、非常に多くの傑作とめぐり合うことができた。そういう意味で幸せな一年だったなあ。忘れているものがあったら後ほどこっそり追加するかも(笑)。


  ちなみにWEB読み物等でベスト20に入れているのは「やる夫は青い血を引いていたようです」と「灯火の行く橋」&「天球賛歌事件」と「本当にあったSAN値が下がるクトゥルフTRPG」&「風変わりな旅行」の3(5)作品。


.
.
.

「やる夫は魔法学院で繰り返すようです」完結・ファンタジー・SF
 2012年の初めのころに一気読みしたが、世界観もキャラクターも魅力的、学生生活の描写も面白くて、こういったファンタジーの学生生活をメインに描いたものが他にないものか、しばらく探していたほどだ。結局他にファンタジーの学生生活で琴線にふれるものは見当たらなかったけど。殺されてループしているけどチートにならないのも素敵。
「やる夫は青い血を引いていたようです」ファンタジー
 今年に入って読み始めたが、投下のない日にも毎日のように何かしらのエピソードを再読している位大好き。読み始めたら、あるいは再読し始めたら、あっというまに数時間が消えてしまうくらいほど面白い。宗教色はあまり前面に出ない、中世ヨーロッパ世界の話、世知辛いが暗黒ではないバランスのとれた世界観が魅力的。正直中世って、ライトノベルとかにも中世風ファンタジーはいくつもあるが、貴族階級の人間をちゃんと描いたものは少ないので、貴族階級の人間の仕事の苦労について、ここまで書いたものははじめて読んだが、実際いつの時代も人間関係が基本なのだから、こうした苦労があったのだなあ、と納得できる。また、中世の世界観で、大きな動乱を描かずに日常の物語を描いているので、そういった点も珍しい。その点がまた好みなんだが。個人的にこの作品を読んで、封建社会のイメージがようやく実感として得られ、魅力的なものだという認識を持つことができるようになったかな、と思う。やはり文字や断片的な幾つかのエピソードだけよりも、こうして物語として読んだほうが、実感が掴みやすいものね。それにやる夫スレで、ある程度イメージの固まったキャラクターが登場することで、より世界観に入り込みやすいし。チートな何かが入り込まない、入り込む余地のないくらい確固とした、世知辛いが人間関係が魅力的な、世界観が最高!。
 好きな話やエピソードがたくさんある、例えば、「闇の中の乱戦」(27話)で竜二が自分にできることを見極め、相手の竜騎士相手にしたら自分の実力では勝てないから、自分も飛び出して戦いたい、仲間の援護に行きたいのと自分でできることの少なさに情けなさを感じながらも、我慢して、雑魚から村人を守ることに専念するという選択をするというエピソードは好きだ。それまで正直交渉能力も案外口が滑って余計なことをいうような性格だし、戦いでも微妙に頼りになりそうもないと思っていたが、このエピソードで一気に評価がぐんと上がった。そして、「実績は重要です。でも、これって本業?」(安価短編54話)での竜二の徴税官修行で、山賊退治が箔になっている、そして竜二の思考も戦うときにはシビアに、現実的に見ることができて、胆力がそなわってきているのも感じられる、いいエピソードだ。
「引き継がれる魂?  釣りキチ二ート・誕生」(安価短編63話)は、これ以上ないタイミングで取られた、王子親衛隊のペッシ&プロシュートの過去と、その後のランカに、兄がそういえば、とペッシらに礼をいっといてくれ、と言われて、日常の普通の会話から死亡したことが改めて認識させられるような、喪失感のある場面が印象に残り、何回も読み返す話。
「開かれた鳥籠」(56話)での、ルルーシュが他国の王女達に市民のリアルを見せる話は、読者としてもこの話のリアルな世界観を再認識しながら、新しい情報を得ることができるので、それが面白い。お姫様がたが普段しないことを楽しんでいるのは、見ているこっちも楽しいし。
56話と57話の間のジオン・ネルフ間の王子の、両者箔をつけるための軽い戦闘のはずだったのが、両者が遭遇したせいで思わぬ激戦になり、シンジも覚醒したが、一連の戦闘が被害が多数で膠着したため「バレてますか? 沈黙は別料金です」(雑談所短編)において、損害を重く見た両国の王子が、相手への敵意を一旦収め、お互いにそこそこの戦果という体にすることで事態の収拾(和戦)にかかるという現実的な対処をしたのは、精神的に大きく成長を遂げた感じさせて、すごいお気に入りの短編。
「陰謀不能論」(58話)の序盤の、やる夫ができる夫を擁護する側に、特に決意も必要とせずに、極自然に最初からたっているのは素敵だ。後半のランサーが、球磨川たちに、今回での報酬を全部よこせといわれたらどうする?てな風に、それ程受け入れがたい提案をできる夫はされた、ということの喩えとしていったのが、善吉が「あ、じゃあ、俺は親父をぶん殴っていいんですね?」と実際善吉が父にそのようなことを言われたこととが判明し、そして、それは怒ってもいいことだということに今更ながら気づいて、殴っておけばよかった、と後悔しながら怒っているシーンは笑えるので、この話は好きだ。
「加算減算・答えの先にある者達」(安価短編66話)は、視野を広げるため武官としての経験も積みたいと思っている清麻呂(文官)に、一方通行が自分も経験少ないが、といいながら、実際にカルチャーショックを受けた出来事などを話しながら、そうした経験について話、そして上条のように経験が(少なくとも短期的には)プラスに働かずマイナスになる例もあるということを教えているのはいいねえ。
などなど、上記はパッと思いついたのを書いているだけだから、最近の話しが多めだが、再度読み返せばもっと一杯、ああ、これも好きだ、という話をきっと思い出す。何度も読み返しているとはいってもすべてのエピソードを実際に読み返さずとも仔細覚えているほど記憶力がよくないからなあ。
「やる夫はソロモン72柱の悪魔と戯れるようです」現代・ファンタジー
 2011年にも途中まで読んでいたが、途中で投げていた。しかし12年に改めて再読して、マインドレンデル(零崎一族の)が登場するシーンで意図的に会話をずらしているのを見て、すごく面白いし好みだ!と感じて、それから毎回の更新を楽しみにするようになった。上条とやる夫の掛け合いはいいね。
やらない夫は約束を守るようです」ファンタジー
 最初のepisodeの最後でランサーに対する判決時と妻や子を慮る内心と、その後のやらない夫が財産没収されたから槍を買い取るという名目で資金援助をしようとしているのをプライドを捨てて素直に頼もう、と思っている描写はいいなあ。サイドストーリー、少年達は大志を抱くの「キョン編」「イツキ編」は両方ともすっごく好きなエピソードだ。特にイツキ編での流石兄者がエンジュの受け売りの台詞を言っているところとか、古泉がジュンをみてあの楯の騎士の!と驚きながらも心を弾ませて、ジュンを見つめている微笑ましい。上であげた3つのエピソードはしょっちゅう見返しては、やっぱり面白いなあと思いながら楽しんでいる。
やらない夫は貧弱男爵家を立て直すようです」完結・安価・ファンタジー
 安価スレ。ベイが神がかっている戦闘でのすさまじい勝率!そうやってものすごい確率をひくから、読んでいるこちらも興奮しっぱなしだったよ。この作者さんはこの他にも「やるめは騎士としてドラゴンを退治するようです」を終わらせ、現在「できない夫は冒険者として立志するようです」を連載している。3作とも同世界観の話で、世界観が広がっていっている。
「やる夫は死の遊びでのんびり過ごしていくようです 」ファンタジー
 死後で生き返りのためにデスゲームをするという設定だが、やる夫と獣殿のおかげでほのぼのに(笑)。いやあ、やる夫チート(物資)ぶりを見るのが素敵、攻略はだんとつで一番遅いというのもまたいいね、他のグループとかの嫉妬の描写がなくて。うーむ、なんだろう戦争とかで物資少なく、欲望が小さくなっているときに、平時には日常の出来事で喜んでいたりするのを見るのが微笑ましくて好きだから、そういう風に楽しみながら読んでいる。
「やる夫は流れついたようです」完結・ファンタジー
 たまに何のこといっているのか理解できずに疑問符が浮かぶような台詞があり、そういう点では不親切だが、面白い。建国もの、つっても自分で自分を縛っており、そのせいで苦労している、自分の死後まで考えた秩序を好む人柄のやる夫が主人公なので簡単に上手くいかず、ぽかも結構あるので、自分を縛っているから、そんな縛りはずしちまえよ……と見ててフラストレーションが溜まるけど、政治向きなマクロのことをやる夫スレでは珍しいほど描いており(それがリアリティあるかは知らん)、それは見ていて面白いし、規模の大きい物語を作ろうとしているのは好感が持てる。現在、子供とやる夫が戯れている未来と、ダディ&やらない香の悪漢共のエピソードが連載中。


.
.
.

「目高町の奇妙なスタンド使い達」二次
 ジョジョ二次。自律型のスタンドのプリズナー・レースが、悪の組織(この言葉すごく久々に聞いた、という言ったなwww)が何かしようとあつまったところを、何もしない間に壊滅させたのには、久しぶりにWEBの創作物で声をだして笑ったわ。推理の部分も楽しい(ミステリー的な解決ではなかったけれど)し、色々なことがかける作者さんだなあ。
「【SOUL EATER】やる夫は死武専に入学したいそうです」完結・二次
 最後の漫画の台詞で会話するシーンは、ほとんどどの作品が出展かはわからないけど、2人が楽しそうなので見てるこっちまで笑みが浮かぶ。結構日常モノというか、学校内での友人との関係や、いじめられていた過去からくる、他人と自分への不信というネガティブな感情についてをメインに扱っているな。しかし、それでも会話が面白いので、雰囲気が暗くなりすぎないのがいいね。被害者になった人間が差別(迫害)されるというのはリアルだね。感想というか一言を書く段になって、改めてちょこっと読み返してみたら、この続編だかスピンオフの「お兄ちゃんの妹 と お姉ちゃんの」がキル夫とやる実(やる夫の妹)が主役で始まっていた!
「いけない!ルカ先生」完結・二次・R18
 こういうエロくて、(原作がそうだから当然だが)少年漫画ノリの馬鹿馬鹿しいもの案外好き。本編が終わる前にそういうこといたしているシーンがあったのは嬉しい。個人的に性欲の強いこの年代でお姉さんキャラとそういうことをしているというシチュエーション大好物です。いたいけな少年を大人の女性が、というおねショタもいいけどこういうのも、また別個のものとして、好き。
「やる夫は聖杯戦争に挑むようです。」完結・二次・安価
 Fate二次。C.C.ヒロインなのは、いいね!原作見たことないけど見た目(とやる夫スレでしか把握していないがキャラも)好きなので、安価だからハルヒの最後は後味の悪さが残るが、作者さんの安価ミキサーの混ぜ方の上手さに驚く作品。戦力のバランス調整に定評のある作者さん。この作品の後にいくつも聖杯戦争を舞台にした作品を完結させているが、ペースが速いので負いきれずに、現行の作品までは追いきれていない。でもこの作品のほかには、「できる夫は聖杯戦争で欲望を叶えるようです」も面白かったです。
嘘つきアーニャの真っ赤な真実完結・原作・ノンフィクション
 米原さんの本が原作、そちらでも前に読んだがやっぱり面白いなあ。AA化することで更に友人との親密さを感じることができて、読んでいて楽しかった。特にヤースナのエピソードが好きだ。ヤースナ父がパルチザンに入ったときのエピソードは印象に残ったし、家柄を鼻にかけている奴がある質問をシモネタと勘違いしたエピソードやヤースナ弟の挨拶への米原さんの「あなたもお国の外務省で研修を受けられたのですか?」というつっこみは笑える。


.
.
.

「やる夫達は戦後の裏舞台を戦い抜くようです」完結・歴史・時代
 戦前〜戦後の歴史は魅力を感じなかったから、戦後を舞台にした物語ってろくに読んだことがなかった(今でもそうだが)が、こういった動乱の時代で、誰がどこにいるかもわからないような混乱した時代を舞台にした作品も読んでいて面白いことに気づく。この作品で描かれる、政治の舞台裏の黒さは魅力的だ。はたから見ている分には、ね(笑)。
やらない夫は大砲鳥に乗るようです。」完結・歴史
 ルーデル(やらない夫)のものすごい戦果と怪我をしても治らんうちに復帰して成果を挙げている超人ぶりには、もう笑うしかない。
「やる夫で学ぶ食卓の歴史」完結・歴史
 イギリス料理の人の作品、作者さんは今年は「やる夫で学ぶヴィクトリア朝イギリスの立ち食い飯屋」とこの作品のような興味深い2作を連載、完結させるなど精力的にやる夫スレを執筆してくれたのは嬉しい。作者さんの外国人の友人ネタも面白い。当時と現代の感覚の差異、常識は社会によって変わるものだから当然食事においても普遍的のマナーはほぼないということ、がよくわかる作品。
「マミさんは真のキリスト教に目覚めたようです」完結・歴史・宗教
 なんか新興宗教かなにかの話だと思っていて、ちょっと敬遠していたが、マニ教の話なのね。マミ=マニ(開祖)というキャスティングである。本編終了後に一気読みしたが、めちゃめちゃ読みやすくて、しかも面白かった。中二チックな世界観、父親のフリーダムさに笑い。
 マニの多芸さ(中世イスラームでは画家として名前が知られていた、ペルシア語をあらわすために間に文字を新たに作った、20代半ばで後の大宗教の根幹部分を作ったなど)に驚いた。キリスト教がローマの国境となるまで、キリスト教としのぎを削りあったというのはすごいな。あんな節操がなく他宗教の様々なものを取り込んでいるような宗教なのに。
「やる夫の戦国立志伝 EVOLVE」完結・歴史改変・時代
 秀吉からやる夫の息子に天下が譲り渡されるというのは、ちょっとご都合気味の感があるが、やる夫と家臣団の農業基準の尺度しかないような、農筋キャラクターは個性的だし、それに非常に魅力的だ新側出の血統の個人武勇での活躍の描写は読んでいて爽快。
御家人やらない夫地獄旅」時代・衆道
 「盲目外道やる夫」と同じ作者さんの作品で、雰囲気も似た感じ。
 江戸時代が舞台の時代小説(AAスレ)。江戸時代の、アウトローな社会を描く作品で、現代的な価値観を入れないようにしているのは好感が持てる、ただ、男性同士のBLな関係をかなりメインとして書いているので、そっちも楽しめないと、またそういう描写かと若干食傷気味になる。個人的に、ときたまならともかく主な要素としては飽きちゃうからな(苦笑)。