11月に読んだ本まとめ

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3620ページ
ナイス数:320ナイス

マージナル・オペレーション [F2] (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション [F2] (星海社FICTIONS)感想
「第1話 私のトリさん」本編終了から数年後のサキ視点の話。彼女はジブリールを『抜き身のナイフのような目に、暗い憎しみを湛えた女の人』と評しているが、そうした視点の違いでのキャラクターの印象の違いが書かれているのも、別視点の短編の面白いところ。この短編のラストはちょっと寂しさがあるが、親と慕うアラタに対する思いが感じられていいね。「特別編 子供使いの失踪」本編後何年経っているかはわからないが、ソフィが再起している姿をみることができたのはよかった。
読了日:11月30日 著者:芝村裕吏
24人のビリー・ミリガン〔新版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)24人のビリー・ミリガン〔新版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
ノンフィクション。第一部は、罪を犯して警察に捕らえられたビリー・ミリガンは多重人格(主な人格だけでも10、全部で24の人格があった)ということで無罪とされた。そして裁判後に入院して治療されたことで彼の全人格が統合された。そのことでビリー・ミリガン自身はじめて空白だらけのぶつ切りの記憶ではなく、空白のない完全な記憶を得ることになる。そして第二部では、統合時にビリー・ミリガン本人もはじめて全体像を知ることになった彼のそれまでの人生について書かれている。
読了日:11月30日 著者:ダニエル・キイス
ヴェネツィア 東西ヨーロッパのかなめ 1081-1797 (講談社学術文庫)ヴェネツィア 東西ヨーロッパのかなめ 1081-1797 (講談社学術文庫)感想
オスマン・トルコでの改宗。初期は托鉢僧団(デルヴィッシュ)が『感情に強力に訴える音楽とダンス』で『錬達者を神との神秘的な交渉に導』いて、『正式かつ公式のキリスト教を放棄するのと同様に、正式かつ公式のイスラム教を超える神への途を追求するように要請』(P135)した。そうして過去を拒否するのではなく、乗り越えることを要求したことで改宗が容易となった。しかし『公認のスンニー派イスラムが、国家におけるモスレムの行為の日常的な規制を行うようになると(中略)キリスト教からの改宗が、ほとんど終わりを告げる』(P141)
読了日:11月30日 著者:ウィリアム.H・マクニール
同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか (光文社新書)同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか (光文社新書)感想
第一章は学生運動キリスト教についての話が、第二章は同志社大学神学部について神学部の教授たちとの話を中心として話され、第三章では著者の別の著作でもよく名前がでてくるフロマートカの話が、第四章では外務省に入るまでの話が他の著作よりも詳細に書かれている。著者の大学時代にお世話になった先生方とのエピソードが面白い。
読了日:11月30日 著者:佐藤優
マージナル・オペレーション [F] (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション [F] (星海社FICTIONS)感想
短編集。最後の話以外は、本編主人公のアラタではなく、他のさまざまなキャラたちの視点による短編で、アラタ以外の視点で語られる話は新鮮だった。「第二話 父について」初めからアラタの下で戦っているうちの一人であるハサン視点でのアラタの最初の印象などが語られる。「第五話 チッタゴンにて」アラタ視点。この短編が本編のどれくらい後なのかわからないが、ジブリールのアプローチに1、2年より先はどうなるかわからないなどと思っているのをみると、二人の仲は少しは進展(?)しているようでなにより。
読了日:11月30日 著者:芝村裕吏
ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)感想
トースターを作るのに、基本的には産業革命以前の時代に存在した道具で鉱石から鉄や銅などを作ろうとするが、解説にもあるようにどうしてもできそうになかったら、そのルールを緩める。たとえば鉄を作るのに燃料にコークスを使って失敗した時には、ルールを少しばかり逸脱して『ネット上で、2001年に特許付与された、マイクロ波エネルギーを使って酸化鉄を溶錬する方法』(P75)を使って、家庭用レンジで溶錬する。こうした失敗やルールの逸脱も面白い。また写真が多く載っていて、材料を作っている様子が見られるのもいいね。
読了日:11月29日 著者:トーマストウェイツ
新約 とある魔術の禁書目録 (14) (電撃文庫)新約 とある魔術の禁書目録 (14) (電撃文庫)感想
今回は理想送り上里と幻想殺し上条の二人が相似形であることと二人の「ヒーロー」としてのスタンスの違いが書かれた回。しかし上里は、パワーインフレの極地というべき魔神たちを物語から退場させるお役目も終わったし、オティヌスの件についてもある程度納得したようだが、今後登場することはあるのかね。あと、そろそろアレイスターが動いて大きな事件を起こしそうだが、それは最初期から予定されていたお話だろうし、それが書かれることで、この長い物語が終幕に向けて本格的に動き始めてくれるといいのだが。
読了日:11月28日 著者:鎌池和馬
スプーンと元素周期表 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)スプーンと元素周期表 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
フィラデルフィアにあるモネル化学感覚センターの科学者は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味のほかに、人間はカルシウムに対しても独立した味覚を持っていると考えている。ネズミでははっきり見つかっており、人間にもカルシウムが豊富な水に反応できる人がいる。(中略)「『カルシウムはカルシウムの味がします』と語るのは〔主席科学者のマイケル・〕トルドフだ。「これ以上の表現はないでしょう。苦くて、更に酸っぱいかもしれません。でも、他の何があるのです。何しろカルシウムの受容体が実際にあるのですから」』(P474)
読了日:11月27日 著者:サム・キーン
魔法科高校の劣等生 (18) 師族会議編 (中) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 (18) 師族会議編 (中) (電撃文庫)感想
今回の事件は達也と深雪以外に、色々な陣営や人物たちが独自に色々と動いているので、色々な思惑・行動が入り乱れている。そのことで、何が起こるのかわからなくなりわくわく感がでて、いいね。今回は達也と黒羽姉弟が共同して作戦を実行しているが、前々巻までは達也が四葉に組み込まれることになるとは思っていなかったどころか、四葉がラスボスになるのではないかと思っていたので、今回の共闘は改めて達也の立ち位置の変化を感じる。
読了日:11月26日 著者:佐島勤
禅思想史講義禅思想史講義感想
最初期の禅宗(北宗)は各人の内面にある仏性は妄念・煩悩に覆われて見えなくなっているので、坐禅で妄念・煩悩を除去して仏性を顕わにして悟ろうとするもの。太陽(仏性)はあるが雲霧(迷い)で見えなくなっているというたとえでいうと、北宗は迷いを坐禅で取り除いていくことで悟り(太陽)を顕現させる。それを批判した神会(南宗)からすると、太陽も浮雲も自己の本質でなく、大空というスクリーン(虚空)に映っているものに過ぎない。スクリーンに自ら気づくことで頓悟する(一瞬で悟る)ので、坐禅で漸悟(段階的に悟ること)はありえない。
読了日:11月22日 著者:小川隆
ログ・ホライズン10 ノウアスフィアの開墾ログ・ホライズン10 ノウアスフィアの開墾感想
望郷の思いが募り、何としてでも元の世界への帰還を望む冒険者たちとこの世界に適応できた冒険者たち。その違いによって冒険者が分裂しかねない現状にシロエは悩む。しかし最後のカナミとの会話で、彼女にこの世界と元の世界を行き来できるようにするという途方もない夢を語られて、シロエは目指す目標が定まる。巻末に8名の登場人物(五十鈴、ルンデルハウス、カラシンアイザック、イセルス、ヘンリエッタ、リーゼ、櫛八玉)のとある一日の行動が書かれたものが載っているが、こうしたものは色々と想像できるから眺めているだけで楽しい。
読了日:11月20日 著者:橙乃ままれ
古代ギリシャのリアル古代ギリシャのリアル感想
古代ギリシャでは『「紫色」は流れたり動いたりするものにつかわれます。だから古代ギリシャ人にとっては海や打ち寄せる波は紫色』(P25)。そのため「ワイン色のエーゲ海」は『波が打ち寄せるエーゲ海』、またはワイン色は暗い色全般にも使われるので『日没のときの暗い海を表現している』(P26)。ゼウスが浮気している神話が多いが、それは『ゼウスは偉大な最高神なので、各地の都市の人間がそれぞれ「俺たちの先祖はゼウス神だぜ!」と主張しているため、結果として浮気神話が量産されていると言うことなのです。』(P60)
読了日:11月19日 著者:藤村シシン

読書メーター

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同志社大学神学部」エッセイ換算





ライトノベル 5
エッセイ 1
ノンフィクション 1
歴史 2
思想・宗教 1
その他 2

11月に読んで特に面白かった本
古代ギリシャのリアル」

古代ギリシャのリアル

古代ギリシャのリアル

 古代ギリシャの話やギリシャの神々についての興味深く面白い話が読みやすい文章で書かれている。
「禅思想史講義」
禅思想史講義

禅思想史講義

 禅についてほとんど知らなかったので色々と知ることが多く面白かった。
魔法科高校の劣等生 (18) 師族会議編 (中) 」 何かこうして色んな陣営がそれぞれの思惑で動いていて、ほどよく先が見通せなくなっているこの感じがいいね。