12月に読んだ本まとめ

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3551ページ
ナイス数:306ナイス

マージナル・オペレーション 空白の一年(上) (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション 空白の一年(上) (星海社FICTIONS)感想
本編の1巻と2巻の間に起こった出来事が書かれていく。そして今回はアラタ視点ではなく、ジブリール視点で物語が進む。ジブリール視点で書かれることで、彼女たちがまだ子供であることを改めて実感する。1章の歩いて隣国まで落ち延びる話は、ちょっとした冒険感があっていいね。そしてこのときはまだアラタも子供たちも互いの文化に慣れていないから、各所で感じる文化的なギャップも書かれているが、そうした話もいいね。
読了日:12月31日 著者:芝村裕吏,しずまよしのり
トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)感想
殺人の濡れ衣を着せられていたポッター。トムとハックは夜中の殺人事件を目撃していたので真犯人を知っているが、犯人の報復が怖くて言い出せなかった。そうした罪悪感もあって二人はポッターに何度も差し入れに行く。そうしたことについてポッターは心からの感謝の言葉を述べた。その純粋な感謝の言葉がトムの心をさいなみ、トムは勇気を出して真実を告白する。それで真実がわかって町はポッターを暖かく迎え入れ、トムは賞賛された。そうした勇気を出した行動が手放しで賞賛されるというエピソードはわりと好き。
読了日:12月31日 著者:マークトウェイン
24人のビリー・ミリガン〔新版〕 下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)24人のビリー・ミリガン〔新版〕 下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
二部の続き、人格が統合してはじめて記憶の抜けがなくなったミリガンのこれまでの人生について、上巻冒頭の彼が逮捕されたところまでが書かれる。三部、彼がアセンズである程度自由な状態で安穏と治療を受けていることへの反感を煽る州議員とマスメディアによって、彼はライマに移される。そこではまともな治療が行われず、いやがらせや暴行を受けて、再び人格が分離してしまった。「その後」などで後のことがさらっと書かれているが、本編はそういう後味の悪いところで終わってしまうので続編「ビリー・ミリガンと23の棺」を早めに読みたくなる。
読了日:12月31日 著者:ダニエル・キイス
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部「神殿の巫女見習いII」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部「神殿の巫女見習いII」感想
今回マインは念願の本を完成させる。完成された本を見て感無量といったマインとその姿を微笑ましげに見守るルッツとトゥーリという175ページの挿絵はいいね。巻末の書き下ろしエピソードは新たな側仕えロジーナの話と神殿のマインの厨房で料理人をしているエラの話。ロジーナの話はweb版の「閑話 前の主と今の主」の内容をロジーナ視点にして、彼女の前の主クリスティーネの下での話やマインの側仕えとして適応した後のシーンを加えたもの。エラの話では神殿のマインの厨房にいる人々の雑談と彼女がこの料理場に来るまでの話が書かれる。
読了日:12月31日 著者:香月美夜
怪談と名刀 (双葉文庫)怪談と名刀 (双葉文庫)感想
刀にまつわる短い奇談を集めた短編集で、ホラーというよりも昔ながらの説話的な怪異譚という印象。1935年に出された同タイトルの本から、怪談奇聞にかかわる内容の作品を選んで新字新仮名遣いに改めて収録した本。名刀の力で妖怪を妖怪を打ち倒すみたいな話が多い。そして各短編の終わりには、その話で登場してきた刀や、その刀を作った刀工などについての説明が書かれている。
読了日:12月31日 著者:本堂平四郎,東雅夫
聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇 (岩波文庫)聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇 (岩波文庫)感想
短編集。「皇帝の胸像」第一次世界大戦後のオーストリア・ハンガリー帝国の解体で、諸民族は独立国を建てる。そのことで多民族が共生していた帝国に愛着を抱いていたモルスティン伯爵は強い喪失感を覚える。そんな伯爵はかつて皇帝が行幸に来たときに近隣の少年が作った素朴な皇帝の胸像を家の前に据えたが、その地に視察にきた新政府の人間に皇帝の胸像を撤去せよと命じられた。そこで伯爵はその胸像の葬儀を行うことにする。その葬儀で村の人々も時代の終焉を切に感じることになった。そのような時代の葬式とその悲哀が書かれていて印象深い。
読了日:12月30日 著者:ヨーゼフ・ロート
日本史の快楽 中世に遊び現代を眺める (角川ソフィア文庫)日本史の快楽 中世に遊び現代を眺める (角川ソフィア文庫)感想
歴史エッセイ集。元は雑誌連載ということで、一つ一つが数ページと短め。この本の前半の「中世の遊ぶ」では歴史上の人物・事件について書いたものが、後半の「現代を眺める」では戦前の日本史についてのエッセイや、現代の事柄や自身の体験と歴史を絡めたエッセイが収録されている。
読了日:12月29日 著者:上横手雅敬
図説・戦う城の科学 古代山城から近世城郭まで軍事要塞たる城の構造と攻防のすべて (サイエンス・アイ新書)図説・戦う城の科学 古代山城から近世城郭まで軍事要塞たる城の構造と攻防のすべて (サイエンス・アイ新書)感想
第一章では日本の城の時代ごとの変化が書かれ、第二章では有名な攻城戦についての紹介がされる。そして第三章では城は敵を倒すためのどのような防御施設があるか、そしてそれにどのような意味があるかが短く説明されている。そうした城の基本的な知識について知りたいと思っていたので、そうした説明が面白かった。また、第四章では有名な城についてが書かれている。
読了日:12月27日 著者:萩原さちこ
ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)感想
鶏の原種セキショクヤケイは大きくもないし、卵も年間10個程度しか産まない。肉や卵だけが目当てなら、この鳥がなぜ家禽化されたのかわからない。しかしその声から時計代わりとして、またはその闘争心から闘鶏用として飼育が始まったのかもしれないし、他の個体を釣りだす囮用あるいは占い用として飼い始めたのかもしれない。そのように卵や肉用以外にも理由があって家禽化されたようだ。何が飼育の最初の動機かははっきりとはいえないようだが、色々な可能性があることからも鶏がさまざまなことに利用されてきた(愛されてきた)ことがわかる。
読了日:12月23日 著者:遠藤秀紀
聖書男(バイブルマン) 現代NYで「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記聖書男(バイブルマン) 現代NYで「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記感想
信仰熱心でないユダヤ教徒の著者が、聖書の教えに従いながら一年間を過ごした記録。一年の三分の二は旧約聖書の教えのみを守り、残りの期間は新約聖書キリスト教)の教えについても守る。十戒だけでなく、混紡の服を着てはいけない(レビ記19章19節)や月初に角笛を吹く(詩篇81篇3節)などの少し変わった決まりも守る。その期間中に積極的に色々な宗教団体に取材したり、宗教的な行事を体験しているのでそのことや、教えを守っている中での日常生活での出来事などについて書かれている。
読了日:12月22日 著者:A.J.ジェイコブズ
シャーマニズム 上 (ちくま学芸文庫)シャーマニズム 上 (ちくま学芸文庫)感想
シャーマンとは『その共同体の利益のために如何にしてエクスタシーを行使するかを知っている者たち』(P30)のこと。シャーマンとなるにはエクスタシー体験による召命が必要。シャーマン候補者は肉体を切り刻まれた後に、内臓と骨とは別物に取り替えられるといったエクスタシー体験をする。『実にシャーマンを聖別するものはただこのイニシエーション的死と蘇生なのである。』(P151)『何がシャーマンを他のメンバーから区別しているかといえば、それは能力や守護例を所有している点ではなくて、彼のエクスタシー体験』(P186-7)。
読了日:12月19日 著者:M=エリアーデ
ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)ソードアート・オンライン プログレッシブ (4) (電撃文庫)感想
今回キリトとアスナは、ラフィンコフィンによる二大攻略ギルド離間策を防ぐために、エギルやネズハやアルゴなどに協力を仰ぎ、彼らと共闘して12人という少人数で5層のボス戦に挑むことになる。こうした再登場したキャラとの共闘は好きだし、即席パーティーが共にボスと戦うことで仲を深めるというのもいいね。それとボス戦が終了した後にキリトたちは今回の計画での手抜かりに気づいたが、その失敗が後に響いたりせず結果としては何事もなく円満に収まってよかった。
読了日:12月18日 著者:川原礫
私のように黒い夜私のように黒い夜感想
ノンフィクション。1959年に白人の著者は白斑病の治療薬を飲み、紫外線に全身を曝すことで肌を黒くし、黒人に扮して人種差別が激しかったアメリカ南部で一月半過ごす。そうすることでこの時代に南部で黒人であるということでどのような経験をするかを身をもって体験する。取材終盤、肌の色が元に戻ってきた頃に著者が顔料を塗ったり塗らなかったりすることで黒人の顔と白人の顔を使い分けて同じ街を歩くと、その街は全く違う姿を見せた。そうした肌の色で街の印象、人々の対応が大きく変わることなど興味深いエピソードが色々と書かれている。
読了日:12月13日 著者:ジョン・ハワードグリフィン

読書メーター

ラ///
小///
ノ///
歴//
思/
そ/

「怪談と名刀」は小説換算。「日本史の快楽」は歴史換算。「シャーマニズム 上」は思想・宗教換算。



ライトノベル 3
小説 3
ノンフィクション 3
歴史 2
思想・宗教 1
その他 1

 12月にkindleを導入。「聖書男」などはそれで読んだのだが、ページ数が書籍版よりもやけに少なく扱われ、「愛を独り占めにした鳥」もページ数が登録されていないので実際の12月に読んだページ数は4000くらいかな。まあ、それでもいつもより少ないけど。

12月に読んで特に特に面白かった本
「私のように黒い夜」

私のように黒い夜

私のように黒い夜

 長い間読みたいと思っていた本なのでようやく読むことができてよかった。
「聖書男(バイブルマン) 現代NYで「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記」
聖書男(バイブルマン) 現代NYで「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記

聖書男(バイブルマン) 現代NYで「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記

 この本も気になってはいたが値段が値段なので中々手を出せずにいたが、12月にkindle導入して、kindle版は当時セールか何かだったのか半額くらいの値段だったので読んだ。