2月に読んだ本まとめ

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3156ページ
ナイス数:345ナイス

曠野の花―石光真清の手記 2 (中公文庫)曠野の花―石光真清の手記 2 (中公文庫)感想
義和団事件で清側がロシアにちょっかいをかけたのをきっかけにロシア軍が満州に勢力を伸ばす。菊池正三という偽名を使って極東ロシアに滞在していた石光真清は、そうした状況を見て、危険を冒してロシアの勢力下に置かれた満州に入り、洗濯屋や写真店を表向きの職業にして情報収集をする。馬賊頭目の妾であったお花の挿話は面白い。彼女はロシア侵攻当初の混乱した状況下で良家の夫人たちを助けたり、真清の仕事を手伝うようになってからは洗濯屋の経営や情報収集をしたり、真清がロシアの警戒が厳しい南下の旅ができるように取り計らったりした。
読了日:2月29日 著者:石光真清
ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)感想
冒頭でケルトについての説明がされて、その後ケルトの特色が保存されたアイルランドの神話が書かれる。アイルランド神話は大きく分けて、(1)ダーナ神族の神話、(2)アルスター神話群(赤枝の戦士団、ク・ホリンの話など)、(3)フィニアン騎士団(フィン王とその騎士団の話)という三つの時代に分かれる。『アイルランドで妖精は「シー」といいますが、この言葉は塚や砦など丘の場所を指すものでしたが、そこに住む人たちの意味となり、シー(丘の人たち)といえば、超自然の力を持った精霊たちを意味するようになりました。』(P77)
読了日:2月29日 著者:井村君江
双生児(下) (ハヤカワ文庫FT)双生児(下) (ハヤカワ文庫FT)感想
上巻では英独戦時パイロットだったJ(ジャック)・L・ソウヤーの話が書かれたが、下巻では赤十字職員だったJ(ジョウゼフ)・L・ソウヤーの話が書かれる。ジョウゼフの物語では空襲の爆弾の衝撃で意識不明となり、搬送中に意識が戻ったところで時空が分岐しはじめる。そして彼は時間が巻き戻ったように運搬中だったり数時間前の状況に戻る、そんな行きつ戻りつを経験することになる。解説を読んで、物語の最初に登場した歴史ノンフィクション作家や彼にパイロットJ・L・ソウヤーの手記を渡した女性とソウヤーとの関係性がようやくわかった。
読了日:2月29日 著者:クリストファー・プリースト
日本人の給与明細 古典で読み解く物価事情 (角川ソフィア文庫)日本人の給与明細 古典で読み解く物価事情 (角川ソフィア文庫)感想
米価換算で奈良時代〜江戸時代までというさまざまな年代での色々な物の値段について書かれている。実際の人物や物語の人物に焦点を当てながら、色んなものの値段の話などがされる。こうした物の値段の話は江戸時代についてのものはそれなりに見かけるが、それ以外の時代についての本はほとんど見ないので興味深く、面白かった。それから色んな図表だったり、巻末に奈良時代平安時代、中世、江戸時代のそれぞれの物価表が置かれているのはいいね。
読了日:2月28日 著者:山口博
族長の秋 ラテンアメリカの文学 (集英社文庫 カ)族長の秋 ラテンアメリカの文学 (集英社文庫 カ)感想
架空の国の独裁者<大統領>についての物語。大統領の孤独さや衰えていく様が書かれているので、彼は独裁者で悪いことや不条理なことを色々としている人物ではあるが哀れにも感じる。権力を持って好き勝手できても、あるいはそれだからこそ孤独な独裁者の姿が書かれる。影武者が死んだのを利用して、大統領の死だと周知させることで、<大統領>は自分が死んだ後の様子を詳らかに見聞きするというエピソードが印象に残った。
読了日:2月27日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
ゴブリンスレイヤー (GA文庫)ゴブリンスレイヤー (GA文庫)感想
ゴブリン退治は駆け出しの冒険者が引き受ける仕事だが、ちょっと運悪ければやられるという世界観。対ゴブリンに特化した経験豊富な冒険者という特異な存在であるゴブリンスレイヤー。作中にも彼は神にサイコロを振らせなかったとあるが、神(GM)が用意している戦闘シーンがあると、他の冒険者はサイコロを振って普通に戦闘をする。しかしゴブリンスレイヤーは効率的に、えげつない方法で敵を翻弄して戦闘を有利にしたり、戦闘に入る前の段階でゴブリンを処理しようとする。さくっと読めて面白かった。2巻がでることが決まったようで嬉しい。
読了日:2月25日 著者:蝸牛くも
新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)感想
原文の各条のあとに要旨で、また解説でも、各条がどういう意図や背景があって書かれたかということが説明されているのはありがたい。例えば第二条では、息子の善鸞親鸞から秘かに教わったことであると称して異義を説いた時に、その真意を尋ねるために親鸞を訪ねた唯円らに話したことであると説明される。そしてさまざまな異義に対する批判が書かれている第十一条以下では、それらの異義がなんという異義で、それは専修賢善の異義からきたものだとか一念義の系統に属する異義などであることも説明されている。
読了日:2月23日 著者:
デュラララ!!SH×4 (電撃文庫)デュラララ!!SH×4 (電撃文庫)感想
今回はセルティが請けた依頼の話。そしてセルティとSHのラスボス風なキャラ四十万がメインの回。今回の事件には関係していなかったが過去の行状から疑われていた四十万が一芝居打って、セルティや他の関係者を一所に呼び寄せる。そこで大立ち回りを演じさせて事件を一辺に片を付けた。新旧さまざまなキャラを登場させつつ、1巻完結のエピソードとしてまとまっていて面白かった。
読了日:2月22日 著者:成田良悟
源頼政と木曽義仲 - 勝者になれなかった源氏 (中公新書)源頼政と木曽義仲 - 勝者になれなかった源氏 (中公新書)感想
以仁王八条院の寵臣三位局を妻としたことで、大資産家で実力者の八条院と繋がりを持つ。未婚の八条院は二人の子を養子として引き取り、長女姫宮には八条院領を継承させようとしていた。1180年八条院に出仕していた頼政の推挙で源行家八条院蔵人に任命されたことで熊野新宮合戦が起こり、その最中に源行家以仁王の陰謀が囁かれた。それで平氏は実力者・八条院の手元にいる皇位継承候補である以仁王を失脚させようとする。そこから合戦へと発展して、以仁王と彼に付いた源頼政が死亡する。
読了日:2月19日 著者:永井晋
絶対ナル孤独者 (3) ―凝結者 The Trancer― (電撃文庫)絶対ナル孤独者 (3) ―凝結者 The Trancer― (電撃文庫)感想
冒頭のミノルの能力を活かして普通なら危険な場所に調査に入るというミッションみたいな、戦闘だけでなく別の場面でも能力を活かしているシーンがあるのはいいね。今回の戦闘は人数で勝るものの苦戦を強いられる展開となったが、ミノルが自身の能力の原点を悟って能力が使える幅が広がったこともあって何とか勝利。最後に新キャラの小村スウが怪我を負って病院に送られることになったが、今後登場が多くなって欲しいと思っているキャラだから、なるべく早く復帰できる怪我であってほしい。
読了日:2月15日 著者:川原礫
トウェイン完訳コレクション ハックルベリ・フィンの冒険 (角川文庫)トウェイン完訳コレクション ハックルベリ・フィンの冒険 (角川文庫)感想
「トム・ソーヤー」の最後で後家さんに引き取られたハック。彼が前回の冒険で手に入れた金をふんだくろうと飲んだくれの父が姿を現す。父に連れ戻されたハックは父の下での監禁も、学校の窮屈さも、もうごめんだとカヌーで川を下って逃げる。その川下りでは顔見知りの黒人奴隷ジムと同行することになる。その道中でハックは、ジムは友人だが彼の逃亡を見逃すことは他人の「財産」の侵害を見逃すことになるので、そうすることに良心のうずきを感じ、懊悩する。しかし最後には自分が地獄行きになろうが、ジムの逃亡を手伝うことを決意するまでになる。
読了日:2月10日 著者:マーク・トウェイン,大久保博

読書メーター

ラ///
小///
ノ/
歴//
思/
そ/


ライトノベル 3
小説 3
ノンフィクション 1
歴史 2
思想・宗教 1
その他 1


 今月もあまり読めなかったが、その割には面白い本をいくつも読めたのはよかった。


2月に読んで特に特に面白かった本
「曠野の花―石光真清の手記 2」

曠野の花―石光真清の手記 2 (中公文庫)

曠野の花―石光真清の手記 2 (中公文庫)

 20世紀初頭の満州の話、身分を隠してロシア占領か満州で情報収集活動をしているときに出会った人々の話がとても面白い。
「日本人の給与明細 古典で読み解く物価事情」 こうした値段の話はとても興味深いので好きだわ。
ゴブリンスレイヤー 面白かった。2巻がどうなるか楽しみ。
「新版 歎異抄
新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

 要旨や解説で書かれていることへの説明されているのはありがたい。