ソードアート・オンライン 18

内容(「BOOK」データベースより)

アンダーワールド“最終負荷実験”二日目。“人界軍”最強の整合騎士ベルクーリ、スーパーアカウント・太陽神ソルスのシノンを打ち破ったガブリエルは、逃げるアリスを追う。一方、圧倒的な数の“暗黒騎士”に包囲された“人界軍”囮部隊の戦場では、アスナの奮闘、リズベットシリカらの助力虚しく、ついに自失状態のキリトが、ラフィン・コフィンの残党“PoH”につかまってしまう。積年の恨みを晴らさんと、PoHの毒牙がキリトに迫り―瞬間。キリトのこころの中に、声が響いた。それは、共に暮らし、戦い、笑いあった彼の親友の声。たった一人の、最高の相棒の声―。ついに、キリトは復活する。アンダーワールドに生きる“すべて”を、救うために。


 ネタバレあり。
 ついにアリシゼーション編完結。キリト復活からのPoH戦、ラスボスのガブリエル・ミラー戦があって、現実世界での奮戦も描いて、長いエピローグでその後についても書かれてあって1巻でまとまっているのはいいよね。これを見るとAWでも、もう少しテンポを早めて欲しいと思ってしまう。
 PoH=ヴァサゴの過去、そういった理由があると説明されることでなんか逆に不気味さが消えてしまったな。人間らしくなって悪意の象徴、愉快犯で何するか何考えているのかわかんねぇみたいな狂人的な怖さはなくなったな。
 彼がキリトに執着する意味、他の人にとって彼が不屈や希望の象徴だったように、彼にとっても希望。明るい世界の象徴でヴァサゴのようなものに染まらずに否定してくるからこそ、その場所から生まれたときから阻害されてきたヴァサゴはその場の象徴であるキリトを同じように否定して潰すことにこだわっていて、わかりやすい目標と言う意味での希望という感じだろうか。
 キリトがアスナにログアウトしなかったら時間の加速を戻すまでに200年経過して危険と言うことを伝えなかったのは何でかと思ったら、共に戦うといわれて、アリスをラース側が確保して相手を諦めさせることもアスナを脱出させることもできなくなる恐れがあるからか。
 復活したキリトについてクラインが口走った言葉だが、確かにキリトがガブリエル・ミラー戦で繰り出した技といい、それっぽい。
 しかし茅場が彼の影とかではなく、メカ茅場として再登場するとは意外だったなあ。
 それからヴァサゴについてはいやあな伏線が残ったな、リサイクルとかエコなことをせずにすっきり終わらせてくれてもいいのに。
 本編も今まで長かった分、エピローグも150ページとかなり長め。その後のあれこれが書かれているのを見るのは好きなので、こんな感じでエピローグが長く取られているのは嬉しい。
 菊岡は人工フラクトライト搭載の国産戦闘機を諦めていないという話。記憶が削除される前のキリトとアスナは、アンダーワールドに閉じ込められていた間にそれを想定していたみたいで、機竜を操作する機士(騎士)たちを養成していたようだ。交渉してアンダーワールド世界の安定のために人員を出すことにはなるだろうが、相手にとっても価値を出すためにと撃墜なるべくされないようにしておきたいという思いもあってそのように制度を整えたのだろうなとか想像してしまうな。
 預言の通りに新たな時代を告げる使者たちとして、キリトやアリスの姿を見た本編アンダーワールド世界から200年後のアンダーワールドの機士が伝説的存在を目の当たりにしていることもあるだろうが、その大きな変革があるだろう未来に前向きなのが嬉しいね。
 あとがきを読んだら、個々でひと段落といった感じだから、このシリーズはしばらく神官内のかなと思ったら、巻末の広告ページで2017年に書き下ろしのシリーズ新作がでるとあって嬉しい。早くも来年にSAOの新刊が見られるのかと思うと楽しみだ。