魔法科高校の劣等生 26 イノベーション編

 ネタバレあり。
 USNAスターズの叛乱騒ぎでリーナが日本に逃れた。リーナを逃がした時にリーナの脱出を支援した者と叛乱者たち(パラサイトや偽情報に踊らされている人々)のスターズ同士での戦闘があった。どうやらスターズのウォーカー基地司令はパラサイトに思考誘導されて、叛乱者サイド側に与同していたらしく、カノープス少佐らリーナ側の人々が禁固刑に処されることになる。
 パラサイト化した九島光宣の件では、水波のもとにくるだろう彼を捕らえるために十師族の七草や十文字家が人員を出している。そして再び水波のいる病院へきた光宣と戦闘になる。光宣はなるべく相手を重傷を負わせないように気遣いしながらの戦闘で、それでも七草姉妹は退けるものの、後からきた十文字は光宣にとって達也よりも相性の悪い相手ということもあって撤退した。そして光宣は自分一人ではその守りを突破できないと感じる。
 一方で現在四葉がかくまうリーナについては、スターズはリーナに向けて処刑チームを出動させていた。その処刑チームのレグルスに加えてレイモンド・クラークの二体のパラサイトが日本にくる。来日早々にテレパシーを使ってしまったことで追われることになったが九島光宣が彼らを助ける。そうして光宣は彼らと合流し、彼らを匿い協力関係となる。
 シリウス少佐(リーナ)の行方をつきとめる捜索協力と引き換えに、光宣が水波を連れ出すために、達也を別の場所に話しておいてくれという陽動を依頼。しかし達也のことをきいた、レイモンドがヒステリックな調子でそれなら倒してしまうべきだ、そうでなければ追いかけてくると主張。
 パラサイトは同じ意思を共有する意思の一体化が起こる。それもあってレグルスが達也を抹殺しなければという考えを持つようになったし、逆にレイモンドは「マテリアル・バースト」を排除すべき脅威と認識するスターズ隊員の意思に影響されて達也を屈服させるから抹殺されるに考えを持つようになった。『このようにパラサイトの意志は混じり合うものだ。最も強い「願い」を抱いている個体がパラサイトの集合的意識のイニシアティブをとるのは確かだが、それは一つの個体の意志がほかの個体を支配するということではない。』(P216)
 USNA側の二人はテレパシーで意思を共有しようとする。それで彼らの意思を通そうとしたが光宣の意思が勝ち、まず水波を連れてくることを第一にさせることには成功した。しかしこのテレパシーによる意思の共有によって達也はその後で処理しようと考えるようになる。そのように光宣は主導権を握ったものの、 USNA組の意思による影響も受けて、彼の意思も知らぬ間に変質した。
 大亜連合と新ソビエトが戦争状態に突入など、世界情勢も動く。そうした大きな動きを見ると、あとがきに『本シリーズも、本当に完結が見えてまいりました。』(P310)とあるし、物語もいよいよ佳境かと感じる。
 そうした情勢の変化を受けて達也は風間に呼ばれ基地に行き、テレパシーを使う密入国者の存在だったり、ベゾブラゾフの現状についての直接(遠距離ではあるが)魔法合戦で対峙した達也の推察を101大隊に教える。
 達也は東道青葉との約束もあって国防協力はいずれにしてもするのだが、風間に借りを作ったと思わせた。そうしたちょっとしたしかえしに思わずちょっと笑みが浮かぶ。
 旧第九研に封印されているパラサイトドールの奪取を狙った光宣は、旧第九研を襲撃。そこで光宣と祖父九島烈と戦うことになり、せめて自分の手でと光宣を殺そうとした祖父に『光宣の人間の心は、それを受け容れようとした。/だが彼のパラサイトとしての精神が、滅びを拒んだ。』(P281)その結果心ならずも愛する祖父を殺してしまい、心の器がひび割れる。これで引き返せない一線を超えてしまった感のある光宣。前巻までは何とか、戻れるのではないかという期待も少ししていたが、ここから戻るのは期待薄になってしまった。
 達也はリーナ処刑のために座間基地に降り立とうとしたパラサイトたちを強襲。今回の作戦にはレオと幹比古に協力してもらい、幹比古にパラサイトを封印してもらい退却。しかし別口で日本に来た三人のスターズ隊員がいることが示されて終わる。