カンピオーネ!―神はまつろわず

カンピオーネ! 神はまつろわず (カンピオーネ! シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ! 神はまつろわず (カンピオーネ! シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

神を殺した者は神の権能を得る。そしてその力を得た者は王者『カンピオーネ』と呼ばれ、覇者とも魔王とも称される。そんな高校生・護堂の求めるものは平穏な日々。しかし魔術師にして自称護堂の愛人・エリカがもたらすのは荒ぶる神との邂逅!?さらには、媛巫女・祐理も護堂に接近!?新たな神話を紡ぐバトルファンジー開幕。

 13巻までそれなりのペースで読み終えていたのに、というか同シリーズ13個も感想を積んでいるとちょっとやそっと出終わらないから面倒になるのでそれ故にというべきか、1年以上も感想をかけていなかったが、ようやく感想を書きはじめる。
 物語を簡単に進めるためだとはわかるが、エリカが護堂の弱みにつけこんで協力を強いるようなのは苦手だ。友達だと思うなら、普通に頼んで断られれば諦めろよ。彼と彼女にとってはじゃれあいのようなかけあいかもしれないけど、見ているぶんには個人的には少し嫌な気分が残る。後にエリカは護堂がカンピオーネになるのに相当手助けしていることから護堂はかなりの借りがあるから、そのことを知ってから読むと腹は立たないけど、知らない初見ではよくある(個人的に嫌いな)横暴系のヒロインかと思いちょっとムッときてしまった。
 護堂は方言がわかるくらいにはイタリア語に精通しているのか!インテリの主人公とはなかなか珍しいと驚いていたけど、その言語(イタリア語に限らず、様々な言語)を話し理解できるはカンピオーネの能力の賜物だったか(笑)。
 しかし無理につれてこられたのに、力を示すなんて手間を掛けさせようとするなんて失礼だなと思ったので、護堂が不可抗力(棒)でコロッセオをぶっ壊して、その騎士団の連中の手間を増やしたのには思わず黒い笑みが浮かんでしまった(笑)。
 エリカが強い押しで結婚してもなんていっているのに対して護堂は「――なあエリカ、俺を変な風に利用しようとするなよ。お前には借りだってあるし、困ったヤツだけど友達だと思ってる。筋の通った頼み事なら幾らでも聞くから、そういうのはやめてくれ」(P53)といっているが、そういう恋愛を利用するのは苦手なので、まったく同感だ!と思っていたが、シリーズを読み進めると普通にエリカは打算とかではなく、護堂を好きなのね。そうだとしたら、そんなこと思ってちょっと失礼だったと反省。
 護堂は殺し合い嫌いなのに実際そういう場面になったら全力でということが、エリカには「口では平和主義者」といっているがとご不満なようだが、それは自分のみを守るために必要なことだから何ら不思議なことでもないと思った。しかしシリーズ読み進めて分かったけど、彼についてエリカの言っていることは案外的を射ていて(僕は彼の言動にかなり騙されていたけどw)、護堂は戦闘(殺し合い)をすることに躊躇や嫌悪は口に出してアピールしているほどにはないのね(笑)。
 怪しい神を呼び寄せてしまうメダル、ゴルゴネイオン。扱いあぐねたんなら壊しとけと少し思ったけど、壊しても神が来るとかあるのかな。ああ、その神は既に顕現していたのか、それなら壊しても意味ないのかな。護堂がメダルを渡された辞典でせいぜいそのメダルを持っていれば場所を選べるくらいの効果の効果しか既に有していないのね。それで普通に日本に帰るというのは大概精神おかしいなあ、受け取るなら無人島とか被害が少なそうなところとその地での家や食料もついでに用意させとけよと思うわ。ここら辺の感覚のおかしさを見ると、平和主義者の一般人と自称していることにエリカが皮肉っているのもわかるよ。ただそれはシリーズを読み進めたからで、1巻時点ではようわからんわ。
 しばし護堂はアテナと戦闘を始める前に殺されかける(というか一度死んでいるが権能で生き返った)は情けない、その直前に「愚かしいほどに」とアテナが言った言葉に同感してしまうほど。主人公は特別に強いといわれているけど、イタリアでもエリカとの戦いでもその強さをほとんど感じなかったし、神であるアテナと対面して早々殺されているから、この段階まではそうした強さをほとんど感じられないなあ。
 エリカは護堂が一回死んだからなのかしらないけど随分と優しいねえ。普段からこうならいいのに、なあんて(笑)。思いっきり穿った目で見れば悪女とも取れるが、たぶん彼女は本気で護堂のことを信用しているし、愛の言葉も嘘じゃないということが少しわかってきた。シリーズを読み進めるたら更にね。
 何で神の情報を聞くのを躊躇っていたのか謎だったが、カンピオーネの身体は体内からでないと魔術が利かないため、キスをして知識を伝達する魔法を行使しなければいけないから聞くのを嫌がっていたのか。それを知るまでエリカが護堂は平和主義なのは口だけといっていたから、彼女の言っていることが本当なら、護堂が神の情報について聞かったのはひょっとして相手の情報を知らずに戦うのを望んでいるのか、なんて考えが頭をよぎっていたよ(笑)。しかしキスをさせるためにこんな設定作っただろうということがわかってしまう(笑)。
 言霊によって攻撃するという護堂の権能があるから、アテナという神についての説明台詞のオンパレードとなっているが、長い長い(笑)。
 万里谷は周囲の建造物を盛大に壊していることを怒っているのは、カンピオーネの力を知っているのにそうした言葉を放つことができるというのは胆力があると思うが、そんなちょうどいい具合に手加減できるとは思わないので、その言葉は理不尽だなあ。
 明日説教するから神社にきなさいと言われて素直に行くのもどうかと思うが、一日経ってカンピオーネの恐ろしさも知っているのだからクールダウンしていても不思議でないのに本当に説教するのも大概だな。こうやって素直に怒られに行っていることやエリカに振り回されているのを見ると護堂って実はMなのかな、なあんて疑惑が胸中に湧き上がってしまうよ。一応配慮はしていたんだし、自分しか戦える人間がいなかったから戦ったのに、それでも文句を言われるとは可哀想。しかしこういうのも一応英雄(勇者)の孤独といった類型に入るのかねえ。