グランド・マザーズ

グランド・マザーズ (集英社文庫)

グランド・マザーズ (集英社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
幼い頃から双子の姉妹のように育ったロズとリル。二人は今、各々息子と孫娘を連れて、光る海の見えるレストランのテラスで、昼下がりの幸福なひと時を過ごしている。だがこの何気ない家族の風景にはある秘密が隠されていた…。互いに相手の息子との恋(?)に落ちた二人の女性の心の葛藤を描いた表題作の他に、「ヴィクトリアの運命」、「最後の賢者」、「愛の結晶」の三つの作品を収録した傑作短編集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
レッシング,ドリス
1919年生まれ。英国人銀行家の娘としてペルシャ(現イラン)に生まれ、南ローデシア(現ジンバブエ)に育つ。二度の結婚、離婚の後、49年に英国に渡り、翌年『草は歌っている』でデビュー。以後多数の長編小説、短編集、詩、戯曲、随筆、ルポルタージュ及び自伝を発表する。2007年ノーベル賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

D・レッシング作品を読むのは、破壊者ベンの誕生を読んで以来
レッシングのほかの作品は、代表作の黄金のノートに興味があるけど、5,460円と高いので購入していません。

短編集と書いてあるけど短い作品で80ページほどなので、中篇集のような感じ。
グランド・マザーズ
お互いに幼馴染で親友の息子と恋人関係になるなんて、血縁的には違うとしても近親相姦的・背徳的な感じがする。
ヴィクトリアの運命
イギリス・ロンドンが舞台。主人公は最下層の黒人の女性、幻想とかファンタジーなら多少鬱展開でも大丈夫だけど、リアリズムの小説だと少しでも暗い方向になりそうだと思うと、読むのが億劫になってしまう。
暗い話になりそうだったけど、終わり方はそんなに暗くなくてよかった。
最後の賢者
SF風だけど、舞台は古代都市。七千年前の古文書を解読した文章という設定。
愛の結晶
170ページとこの本のなかでは一番分量が多い作品。
第二次大戦。徴兵から船でインドへ向かう、中継地である南アフリカでの4日間のうちに芽生えた既婚婦人との恋。インドでの話。
第二次大戦の話は重くなりがちだけど、この作品は重くなくて。読みやすかった。
この短編集のなかで一番好き。