暗黒事件

暗黒事件 (上) (岩波文庫)

暗黒事件 (上) (岩波文庫)

暗黒事件 (下) (岩波文庫)

暗黒事件 (下) (岩波文庫)

岩波説明文

いかなる小説,史書もナポレオン帝政時代のフランス社会の実相をこれほどみごとに示してはいない.独裁政治を裏面から支える秘密警察の策謀弾圧,政治裁判とデッチ上げ事件――本書はバルザックの作品中,特に扱われた事件で興味あるものであり,裁判の公平になお疑念のある今日,痛切に訴える問題を含んでいる.

バルザックさんの作品は、半年以上ぶりに読んだ。旧漢字旧かなではじめは読みにくかったが途中から物語の世界観もつかめてくると、それを気にしないで読むことができた。
上官を読み終えてから、下巻を読み終えるまで2ヶ月くらいかかった(その間にほかの本を読んでいたのだけれど)。ローランスのキャラは好きな感じです。
結びの文章で、五人組は、実は警察の人間ではないかといっていて、誰(どの組織)がそういうことをしたのだろうかということがわからなかったので、最後にそれがわかってすっきりした。

二人はめいめい、心の通ひ合はなかった十年といふ歳月を考へ、罪はわが身一人にあるといってめいめい自分だけを責めた。(上・63p)