ガセネッタ&シモネッタ
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 文庫
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出版社/著者からの内容紹介
名訳と迷訳は紙一重。言語をめぐる爆笑エッセイ
ガセネタも下ネタも、ついでにウラネッタも満載!! ロシア語同時通訳の第一人者が綴る、大マジメな国際会議の実に喜劇的な舞台裏内容(「BOOK」データベースより)
国際会議に欠かせない同時通訳。誤訳は致命的な結果を引き起こすこともあり、通訳のストレスたるや想像を絶する…ゆえに、ダジャレや下ネタが大好きな人種なのである、というのが本書の大前提。「シツラクエン」や「フンドシ」にまつわるジョークはいかに訳すべきかをはじめ、抱腹絶倒な通訳稼業の舞台裏を暴いたエッセイ集。
米原さんのエッセイは、とても面白く読みやすい、あまり読書欲がないときにでもすらすらと読むことができるので、好きだ。
巻中の柳瀬さんとの対談は、柳瀬さんのことも、私はとても好きなので、面白かった。
特に好きなものは、絶滅する恐竜の心境と柳瀬さんとの対談
文
ロストロポービッチさんはグランドピアノに向かうと、耳が張り裂けんばかりの大音響を響かせ、次に聞こえるか聞こえないかすれすれの音を響かせた。
「演奏家はこの二つの両極端の間のすべての音階を弾き分けられなくてはいけないよ」
そうショタコービッチ先生はさとしたそうだ
「ディシエンド(徐々に音を小さくしていく演奏)」も「クレッシェンド(徐々に音を大きくしていく演奏)もこの幅があってこそ生きてくるんだ。ところが君たちの演奏は、僕の若い頃にソックリだ。大きな音を出せば効果的と思い込んでいる。せいぜいフォルテとメゾフォルテッシモしか弾けないのだね。
さらにショタコービッチ先生はこうも要ったそうだ。
「世の中にはピアニストを名乗るやからが履いて捨てるほどいるが、そのうちの大多数は、ピアノ(小さな音)が弾けた例がない。世の中に蔓延る自称ピアニストたちは、ぼくに言わせりゃメゾフォルティストだね。メゾフォルティストになるのが、一番簡単だってことだ」(59-60p)