メルカトルと美袋のための殺人

メルカトルと美袋のための殺人 (講談社文庫)

メルカトルと美袋のための殺人 (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
ウラジオストクからモスクワへ向かうシベリア急行。その車内で作家・桐原剛造が殺された。死亡推定時刻、同乗者達には食堂車で夕食中というアリバイが。密室殺人から奇妙奇天烈な不可能犯罪まで、銘探偵メルカトル鮎と推理作家・美袋三条が空前絶後の推理力で事件の真相を看破する!新本格推理傑作集。


メルカトルの傍若無人ぶりがすごい。死体を足蹴にしたり、物証がなかったら、自分で、その証拠を作ったり、犯人は知っているが、立証することができない、殺人犯を捕まえるために、もう一人殺させるように仕向けたり、犯人と取引して沈黙することを選んだり、とメルカトルが登場するほかの作品は、メルカトルが主役でないからかなり変わった探偵だとは思っていても、ここまでだとは気がつかなかった。でも、ここまで常人から逸していると、普通だと酷い行為だと思うけど、その行為をしたといっても違和感を感じずに納得できてしまう、倫理とか常識とかを超越しているのか、欠落しているのか。
ノスタルジアは、メルが作った推理小説と、それを読んだ美袋とのメルの会話が面白い。