果てしなき逃走

果てしなき逃走 (岩波文庫)

果てしなき逃走 (岩波文庫)

わが友トゥンダは三十二歳で、元気溌剌とし、いろんな才能を持った、若くてたくましい男として、マドレーヌ寺院前の広場に、世界の首都の真ん中に立ち、これからどうしたらよいか途方に暮れていた。彼には職も、愛も、欲望も、希望も、名誉欲も、エゴイズムさえもなかった。
 彼ほど余計な人間はこの世にいなかった。(P212)

ヨーゼフ・ロート、読むのは初めて。聖なる酔っぱらいの伝説を読もうと思っていたんだけど、amazonで品切れだったので、代わりに購入。
ある程度登場人物から距離をとって書かれているせいか、あまり暗く感じることがなく読みやすかった。