ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯

ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 (岩波文庫)

ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 (岩波文庫)

少年ラーサロが,悪知恵にたけた盲人や欲深坊主,貧乏なくせに気位は高い従士やいんちき免罪符売りなど,次々に主人をわたり歩いてはなめるさんざんな苦労の数々.十六世紀当時のスペインの社会や下層民の生活が風刺鋭く,簡潔な描写で赤裸々に写しだされてゆく.ピカレスク小説をヨーロッパに流行させるさきがけとなった傑作

16世紀半ばに人気を博した、作者不明のピカレスク小説。第1刷が1941年と戦前で驚いた。1972年に改訳されているけど、やっぱり文章が少し古く感じる。物語の筋が過去から現在まで一直線で、語り手以外に話をまたいで登場する人物がいないから、それでも読みやすいけど。
100ページと少しと短く、自分の身の上を相手に語りかけるように書かれているので、読みやすく、過去の出来事が酷くても、現在から語りかけていると分かっているので安心して読めるのがいい。
今まで使えた主人を各一話を使って書いてある。第一話と第二話は主人がけちなのでいつも空腹なのでラーサロは食うために知恵を使って、主人との知恵比べみたいになっているのが面白い。第四話以降は駆け足になってしまっているのがちょっと物足りない。
あと、『ラサリーリョ・デ・トルメスの新しい遍歴』という本を、ノーベル賞作家のカミロ・ホセ・セラという人が書いているみたいなので、それに少し興味がある、けど、アマゾンで品切れなので、当分は読むことはないだろうけど。