愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで

愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)

愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
国王、大統領、政治家たちは、なぜ国民の利益と反する政策を推し進めてしまうのか。本書は史上に名高い四つの事件を詳述し、その失政の原因とメカニズムを探る。歴史とは何か、歴史とは役に立つのか、そして人間は歴史から学ぶことができるのだろうか。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
タックマン,バーバラ・W.
1912年、ニューヨーク生まれ。ラドクリフ・カレッジ卒業。『ネイション』『ニュー・ステイツマン』などの記者を経て著述業に入る。『八月の砲声』および『失敗したアメリカの中国政策』で二度、ピューリッツア賞を受賞。89年、死去

元首のなかでも鈍感さの最たるものを示したスペインのフェリペ2世について、ある歴史家が述べた次の言葉に要約されている。「自分の政策の失敗を身をもって経験しても、その政策を本質的に卓越したものと考える彼の信念は揺るがなかった」。(P21)

当時の倫理的能力と姿勢のため、いくつかの代案は心理的に不可能だったとはいえるかもしれない。しかしその意味では、採用されなかった代案はどんなものでも、当人たちの手には負えなかったと強弁できることになる。(P111)

歴史に詳しくないから読むのに結構時間がかかってしまった。
トロイの木馬の話での愚行や、ルネサンス教皇たちの話は、面白く読めた。三章の教皇庁の堕落を読んで、須賀敦子全集(5)のミケランジェロの詩と手紙の背景というのがわかったので、読み返そうかと思っている。四章大英帝国の虚栄、アメリカの独立戦争の少し前からの話、でてくる人物が多いので、最後の方少し名前でても誰だっけという状態になってしまった。個人的には、英国側の人間にもアメリカ側の人間、どちらにも肩入れできなかった。四章は上巻と下巻とに分かれているので、四章だけでも速めに読んでおきたい。