ナツコ 沖縄密貿易の女王

ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫)

ナツコ 沖縄密貿易の女王 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
1946年から51年まで、沖縄はケーキ(景気)時代と呼ばれていた。誰もがこぞって密貿易にかかわる異様な時代。誰にも頼れないかわりに、才覚、度胸ひとつで大金をつかむことができた時代であった。彼らから「女親分」と呼ばれた夏子は、彼らの上に君臨したわけではない。貧しかったが夢のあった時代の象徴だった。十二年におよぶ丹念な取材で掘りおこされた、すべてが崩壊した沖縄の失意と傷跡のなかのどこか晴れ晴れとした空気。大宅壮一ノンフィクション賞に輝いた占領下の沖縄秘史。


序章からナツコを知る人の語りではじまるので、生き生きと歴史的過去ではないことが理解できて、それで夏子の人物像がわかり引き込まれる。途中途中の説明を除くと著者が前面に出ていないのがいい。資料がないから知っている人に当たるほかないんだろうけど、当時の関係者によって話されていることが大部分、色々な人から夏子という一人の人間のことが語られるのが面白い。