ミノタウロス

ミノタウロス (講談社文庫)

ミノタウロス (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
帝政ロシア崩壊直後の、ウクライナ地方、ミハイロフカ。成り上がり地主の小倅、ヴァシリ・ペトローヴィチは、人を殺して故郷を蹴り出て、同じような流れ者たちと悪の限りを尽くしながら狂奔する。発表されるやいなや嵐のような賞賛を巻き起こしたピカレスクロマンの傑作。第29回吉川英治文学新人賞受賞。


買ったときには『雲雀』も『鏡の影』も積んでいたままだったので、いつ読めるかわからなかったが案外早くに3冊とも読むことができてよかった。
主人公のヴァシリが自身のことを本質的にけだものといっているけど、卑下とかではなく本当にそんな感じなので苦手なタイプの人だ。というかヴァシリ、物語の最後でも未成年のままか。
解説で、『戦争の法』の解説を引いて『早々と完成された人間が人間性自体から切り離されて自覚的に破滅していく話』とあったが、個人的に基本的にキャラクターの好き嫌いで楽しめるかどうかが大きく変わるから、『戦争の法』の主人公や千秋と比べるとミノタウロスのキャラクターたちにはあまり好感が持てなかった。期待値が高すぎたから、面白かったけどなんか物足りないような気分。