回転木馬のデッド・ヒート

回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

出版社/著者からの内容紹介
都会の奇妙な空間
人生というメリー・ゴーラウンド そこでデッド・ヒートを繰りひろげるあなたに似た人
現代の奇妙な空間 都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人……、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。

 自己表現が精神の解放に寄与するという考えは迷信であり、好意的に言うとしても神話である。少なくとも文章による自己表現は誰の精神をも解放しない。もしそのような目的のために自己表現を志している方がおられるとしたら、それは止めた方がいい。自己表現は精神を細分化するだけであり、それはどこにも到達しない。もし何かに到達したような気分になったとすれば、それは錯覚である。人は書かずにいられないから書くのだ。書くこと自体には効用もないし、それに付随する救いもない。(P13-14)

村上春樹さんの小説を読むのは久々。村上さんの短編群はあまり読んでいないので、一気にではなくともちびちびと読んでいこう。最近微妙に読書欲が低減中だったけど、1日で読むことができた。
『スケッチ』あんま読んだことのない形式。聞いた話をただ小説化するのではなく、聞いた時の作者とそのエピソードを語った人との話が織り込まれている。
ただ、こういう話はそういう体の小説なのか本当なのか、どちらでも読むうえではたいした違いはないんだけど、どうとっていいのかちょっと迷う。