ブッダの人と思想

ブッダの人と思想 (NHKブックス)

ブッダの人と思想 (NHKブックス)

内容(「MARC」データベースより)
我がものという執着を離れて欲望を滅し、清浄行の実践を説く人間ブッダの説教とは。さまざまな原始経典からのことばを引用しながら、現代を生きる人びとへ、ブッダの心の内面をわかりやすく解き明かす。〈ソフトカバー〉

引用多めだけど、内容を自分の言葉で書き表せるほど文章スキルもないし、内容を消化し切れていないので、そうしないと感想がかけない。ということで第六章までの感想、前十二章だからちょうど半分の章まで。長くなったのでとりあえず半分までの感想。

『はじめに』で、『『原始仏教』とあわせて読むことでより詳しい理解が得られることと思われます』(P4)そっちも読むべきか、というかそっちの方を先に呼んでおくべきだったか?とちょっと思った。
『つまり、ブッダは「真のバラモン」とは何かを説いたのであって、考えようによっては、真のバラモン教の宣教者であった。これが、時代がたつにつれて「仏教」という明確な宗教に独立していったのであります。』(P17)キリスト教イスラム教もそんな感じだよね。
『悟ったら全ておしまいというものではない』これは『鉄鼠の檻』で読んで驚いたなあ。
『「ウパニシャッド」の哲人たちの教授法は師と弟子のせまい範囲のものでした。これが当時のインド社会の常識でありました。ところがブッダの教法は、日月の光が万物を照らすように万人に向かって説きだされました。普く教えを説くことは、当時のインド社会にとって未曾有のことであった』(P58)内省の人であるブッダが、そういう当時としては斬新な布教をしはじめたというのは面白い。
『人間は、富とか権力とかなにかに執着しがちであります。この執着を離れて生きることが中道の実践であり、足して二で割るのが中道ではありません』(P64)だろうね。米原さんの本の中でも欧州の言語(どこかの国だったか?欧州全体をさしていたのか?ラテン語なのか?覚えていないけど)でも中道は2つの主張の真ん中を取るのではなくて、いいとこどりをする(だったか極端なものを両方取り入れるとかだったか?)うろ覚えだけど、中道っていい意味なのに、なんか日本語だとどっちつかずとか日和見とかいう感じの印象が結構あるよね。
我(アートマン)、『日本語においては、アートマンを我と受け取るよりは、自身とか自己とか訳した方が、原始仏典の意味としては誤解しないですむのではないか』(P95)漢字で書かれているとつい現代の日本でのニュアンスで解釈しちゃうよね。
『まず、自己にあらざるものを自己の所有とみなすこと、二つには、自己には、常住不変の実体があるとみなすこと、三つには自己の本質というものがあると見ること、これらを否定することが非我の内容であると説きます』(P95)『ブッダは「自己は存在せず」と自己そのものを否定してはおりません。 ブッダの否定するのは、自己の所有であり、常住不変の実体であり、常住不変の自己の本質といったものであります』(P96)常住不変の自己の本質の否定、この言葉はじめて知ったけど人の「本質」という言葉は少し胡散臭く思っていたからすっごく納得できるよ。
『「わがもの」と見なす執着をはなれ、一切の所有欲を捨て去るという考え方』(P98)は、古い時代からバラモン教でも行われ、初期の「ウパニシャッド」の中でも有業者は、子孫、財産、世間に対する欲望を捨てて行乞するものとされ、仏教の姉妹宗教のジャイナ教もほぼ同時代に同じ地方で、きわめて似たことを説いている。とあり、そういう考え方はインドの伝統なのかなあ。
ブッダは、はっきりと自己(アートマン)を求めよといっています。非我(無我)は自己否定や自己放棄ではありません。むしろ自己を愛し、自己を大切にせよといっています。』(P104)『ブッダは言いました。
「心のなかでどの方向に探し求めても、自分より更にいとしいものをどこにも見いださなかった。そのように、他の人々にとっても、それぞれの自己がいとしいのである。それゆえに、自己を愛する人は、他人を害してはならない」と
――ウーダナ』(P105)
『法(ルビはダンマ)による倫理主体としての自己こそ非我(無我)の当体である』(P109)『第六章 一切にわがものなし』は興味深かったけど、この最後に一文でただでさえわかりにくいのが、更にわかんなくなるなあ。と思って前を読み返してたら、『克服されるべき煩悩の自己(仮構された自己)と、護り育てられるべき自己(浄化された自己、無我)とがあると考えてよいでしょう。しかし、これはもともと一つあるのみで、仮構された自己を挫けば、同時に無我は実現するでしょう。』(P108)もともと一つ、というところに注目して他の部分をちょっとよそに置いちゃってたな。1ページ前に書かれていたのに、うーん読むときはもっと集中して読まなくちゃあなあ。