科挙 中国の試験地獄

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

内容(「BOOK」データベースより)
二万人を収容する南京の貢院に各地の秀才が官吏登用を夢みて集まってくる。老人も少なくない―。完備しきった制度の裏の悲しみと喜びを描きながら、凄惨な試験地獄を生み出す社会の本質をさぐる名著。

宮崎市定さん、有名だけど読むのはこれがはじめて。
1300年も続いたのはすごいな。「科」目による選「挙」。「古典の勉強がほとんどすべて」ずいぶんと偏ってるなあ。
国史、あまり詳しくないから、どの試験を合格した時点でどれくらい偉いのかいまいち想像しにくいな。
科挙制度が形式上もっとも完備した清朝の末期、すなわち、いまからおよそ一〇〇年ほど前、年代で言うと一九世紀の後半の状態を一応の基準として話を進めて意向と思う。』(P18)ということで、話されているメインは「清朝の末期」。もっとも完備したと言っても、そのぶん通らなければならない試験も多くなったので、恐ろしく大規模、長丁場になってすごく大変そうだ。
『読巻大臣のいいなりになるのも癪だからと、いい加減に下の方のものを抜き出して上へのせ、上から順次に番号をつける天子もいた。何をしようと天子は絶対に自由で、何ものにも拘束されないのが宋代以降近世の独裁君主の姿なのである。』(P133)今まで、試験の厳しさについて書かれてきたのを見てきたから、そんなことを許される天子というのがどれほどすごい存在なのかわかるな。
『明清時代においても、科挙制度がそれなりの効果を発揮したこともあった。それはいずれも開国の初期においてである。』(P190)科挙は国、政府に人材が不足しているときには効果を発揮する。
『中国の教育制度は今から千年ほども前の宋代を頂点とし、以後はだんだん下り坂となって、衰退の一路をたどるのみであった。』(P203)ピーク、早いなあ。