もえない

もえない Incombustibles (角川文庫)

もえない Incombustibles (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
クラスメイトの杉山が死に、僕の名前「FUCHITA」を彫り込んだ金属片と手紙を遺していった。手紙には「友人の姫野に、山岸小夜子という女と関わらないよう伝えてほしい」という伝言が。しかし、山岸もまた死んでいるらしい。不可解な事件に否応なく巻き込まれていく僕は、ある時期から自分の記憶がひどく曖昧なことに気づく。そして今度は、僕の目前で殺人が―。森ミステリィの異領域を拓く、冷たさと鋭さに満ちた少年小説。

『キリストの母親は、神の子を宿したらしい。人間の子を宿すのだって気持ち悪いのに、それよりずっとずっとホラーだ。それを生もうと思ったのも尋常じゃない。神と悪魔の違いが、ただの人間にどうしてわかるだろう。信仰っていうやつは、 そこが一番不思議なところだと思う。たぶん、信じてしまったら、そちらが神様で、もう片方が悪魔になるんだろう。』(P7)
ミステリ、というよりスリラーとかサスペンス(?そこらの区分けがいまいちわかんないけど)。関根に対する淵田の内心に笑った。肝心の事件に関わる契機になったものが結末にはほとんど無関係というのはどうなんだろう。
『僕みたいに、肝心なことを忘れてしまえば、死なずに済んだのにさ』(P263)