一下級将校の見た帝国陸軍

一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)

一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
帝国陸軍」とは一体何だったのか。この、すべてが規則ずくめで超保守的な一大機構を、ルソン島で砲兵隊本部の少尉として酷烈な体験をした著者が、戦争最末期の戦闘、敗走、そして捕虜生活を語り、徹底的に分析し、追及する。現代の日本的組織の歪み、日本人の特異な思考法を透視する山本流日本論の端緒を成す本である。

山本七平さんの本、以前から読みたいと思っていたが読み終えたのはこれがはじめて。第二次世界大戦の話はどうしても暗くなってしまうからどうも苦手というのもあり、読むのにやたらと時間がかかってしまったが、ようやく読みおえることができた。
「片づかない」という日本的な地獄、『大きくは太平洋戦争も、小さくはアパリ正面も、結局「賽の河原……」ではなかったか。各部隊・各兵という石を積み上げては、新情勢に基づく「決定変更」でこれを崩し、また積み上げ、また崩し、そのたびに消耗を重ね、ついに耐えられなくなって、自らが三途の川に飛び込んで自らを「片づける」という形の』(P132)
『彼は、何もアメリカ人が立派だといったのではない。彼らは、「秩序はつくるものだ」と考えているが、われわれはそうでない、という事実を指摘しただけである。いわば彼らは、「家を建ててその中に住むように」、「自分たちで組織をつくり、秩序を立ててその中に住む」が日本人にはそういう発想がないといっただけであった。』(P294)『それは決断の問題であって、知能の問題ではない。』(P305)「サント・トマスの虜囚たち」と収容所との比較を見ると、情けなくなってくるなあ。僕も組織を作ろうなんて考えられないタイプの人間だからより一層。
第二次世界大戦の話は、どうしても苦手なんだけど、普通に読めるようにならなきゃなあ。いつもが思っていてもなかなか読めないのだが、量を読めば自然に読めるようになるものかな?