磔(はりつけ) (文春文庫)

磔(はりつけ) (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
慶長元年暮、こごえそうな寒風のなかを、ボロをまとい、みじめに垢じみて、一様に片方の耳をそぎ落された二十数人が、裸足のまま山陽道を引き立てられていった、長崎で磔に処されるために…。秀吉によって、苛酷に弾圧された切支丹信者の悲劇を始め、歴史に材を得て、人の生を深く見すえた五つの好短篇。

こうした短編歴史小説好き、あまり短編の歴史小説ないけど。
「磔」当時の日本人から見たキリスト教徒の不気味さが感じられて面白かった。ただ、『切支丹はその性格上必然的に日本古来の武士道と相反し』ってあるけど、当時は武士道ないんじゃ、そうしたものの原型を後の武士道という概念と語を使っているだけだろうけど。
「三色旗」、「オランダ風説書」でも読んだエピソードだが面白かった。たしかこの出来事が、佐賀藩が軍備を強化して、藩が外国(西洋)に関心を持ち、洋式の方とか作ったりするようになるきっかけだっけ?(うろ覚えだが)
「動く牙」武装した水戸浪士勢の状況による混乱。水戸藩の幕末の動きについて、殆ど知らないので、攘夷派の思想的な中心のはずなのに印象薄い(内乱ばかりだからねえ)。