魔法科高校の劣等生 6 横浜騒乱編 上

魔法科高校の劣等生〈6〉横浜騒乱編(上) (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生〈6〉横浜騒乱編(上) (電撃文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
秋。『全国高校生魔法学論文コンペティション』の季節がやってきた。日頃の研究成果を魔法装置を使った『実演』でプレゼンテーションするこの催し物は、九校戦で成績が振るわなかった学校の雪辱戦とも言える。魔法学、魔法技能、先端魔法技術を披露する最高の舞台だった。『劣等生』司波達也は、第一高校の代表・鈴音のサポートメンバーとして参加、その魔法技能を如何なく発揮していた。時を同じくして、暗躍する組織の影があった。諜報員、同じ魔法科高校の生徒、『大陸』から来た暗殺者…。達也の類い希なる頭脳と能力と、その『成果』を狙い、コンペティションは陰謀に巻き込まれる―。

 Web版で描写されていなかった大亜連合の動きが大分加筆されている、web版ではモブの敵役とも感じるような、ちゃんと描写されたキャラもいないかったので、こうして相手方のキャラクターの描写が追加されているのはすごくよかった!正直横浜騒乱編は前半は微妙だと思っていたが、こうした加筆のおかげで面白く読めた。呂と千葉直修(次兄)の戦闘や達也・真由美・摩利と呂の戦闘など、バトルシーンも増えたので、メリハリができているのもいいね。

 廿楽、最近Web版を読み返していないから、百家の人間だということをすっかり忘却していたよ。
 達也、才能を頼みにするものは「より大きな才能に触れることでストレス」が、というのを達也自身も魔法以外のことで感じることがある、って魔法以外で彼が才能を頼みにしているものってなんだろう、なにかあったっけ?
 キャスト・ジャミング、以前から思っていたが、魔法で原子炉をというのに、そういう現象をひきおこすことができるのであれば、もし魔法で原子炉をつくることが実現できても、安全性に問題があるのではないかという疑念を持ってしまうのだが、そこらへんどうなんだろう?福島原発以後では、原子炉自体に必要かどうかという議論がでてきているくらいだから、なおさら。それに、達也がしていることが本当に必要なことなのかどうか、疑問に思っちゃうなあ。それに、もし実現したとしても、単に魔法技術を進化させるという程度の影響にとどまるのではと考えてしまう。そういう点に、web版から何年もたっていないのに、そういう微妙な時代の差異みたいなものが見えるということは、3・11と原発の事故いうのは非常に大きな出来事だったということが改めて実感できるよ。
 小百合の万一のフォローに行くのに、『魔法識を保存するヒントになるかもしれないサンプルを持っている』(P66)からという実利からそうするという説明をされているのは、web版よりも突っ放した感じなのがすごくいい!あの継母、大嫌いなのでw
 千秋、まんまとに逃げおおせた自分に唖然としていたろうということで、悦に浸るって、唖然としたのは自分の無謀さ道化ぶりに呆れているだろうってだけだろうが、達也が憎いという見当違いな妄執にとらわれてしまって、近視眼的になってしまっていて自分の滑稽さが見えていないのかね。
 ジロー・マーシャル、web版では描写なかったが死んでたんかw
 花音とエリカの口論、花音は自招危難だといいたいんだろうが、エリカの方が正しいだろ。相手は武器を出して人を狙ったんだし、取り押さえるときにたまたま相手が気絶した程度(しかも実際に取り押さえたレオは無手だし)なんだから正当防衛でしょ。それでも相手はいくつも武器を使って、それを携帯していたのだからな。それに自分は尾行されているとわかったら、すぐに取り押さえにいったのに、どの口が非難するかって話なんだけど。ようやくわかったが花音、ことなかれ主義なんだ、というか地位に見合った責任感や正確に裁断する能力が備わっていないというか。なんか物語が進んできて、達也の能力が公になったのち(だか最中に)、大きな事件や出来事の渦中にあって苦労しているときに友人達が達也を正しいと思う中、非難する側に回りそうなキャラやね。
 『信じていたものに裏切られたとき、人は争い続けてきた敵に対する憎悪以上に深い憎しみを覚えるものだ。たとえそれが一方的な信仰だったとしても。』(P195)千秋、憎しみを覚える以前は達也の隠れ(?)ファンだったのかw
 藤林、『父権主義者なんですよ。』(P313)と韜晦してはいるが、本当の千秋の情報を渡さなかった理由は、平河姉が情報を提供したからだということに、web版で何回か読んでいるくせに今更気がついた。ずっと違和感があった部分だから、そうかそういうことかとようやく得心することができた。