中世ヨーロッパ 食の生活史

中世ヨーロッパ 食の生活史

中世ヨーロッパ 食の生活史

内容(「MARC」データベースより)
中世ヨーロッパの料理書、作法の手引き、勘定書、財産目録、文学作品、考古学的発見など、あらゆる資料を駆使し、貴族の「饗宴」から庶民の日常食にいたるまで、「食べる」という行為を多岐にわたって再現した食生活の歴史。

なんか、こうした歴史の中の食についての話好きだなあ。中世ヨーロッパは、web作品でもファンタジーの雛形としてかなり舞台になっているので、そういう意味でも面白そうだと思い読む。牛・豚・鶏以外の肉の味のイメージがつかないなあ、というか僕は基本想像力が乏しいから、よく知った料理以外具体的イメージができないんだけどね(苦笑)。だったら、何で読んでいるかと自分でも少し疑問に思うが、それはたぶん、当時の食事事情を読むのがすごく楽しいからだろう。

この本で扱っている期間は1300~1500年。
トランショワール、堅くなった薄切りのパンで皿の代わりになった。こういうのが出てくる作品ってないから、はじめて知ったよ。
中世の(貴族など裕福な人たちの)食事は、色鮮やかな料理が好まれたよう。どうも文章からそれは当然の知識のように書かれているけど、それすら知らんかったわ。個々数十年の発見としてあげられている、『おそらく価値がないとみなして公証人が台所用品の財産目録にのせなかったと思われる陶器類が無数に発見されている。庶民の食事が煮込み料理であったことは間違いない。』『豚肉は貯蔵肉の(目方にして)ごくわずかのしか占めていないことが明らかになった。』(P14)に関しても、中世の食事の具体的なイメージがはっきりしていないから、どうも上手く反応できないなあ。でも自分のそれまでのイメージを改めて考えれば、牛・豚・鶏の中の枠内でしか見てなかったからかもしれないが、その3種の中では一番食べられていたイメージがあり、それが豚はかなり食べられていたというイメージになってもおかしくないか。現代は牛豚鶏が食肉のほとんどを占めているから、よく考えれば知識のほとんどない僕にもそんなイメージがあったかもなあ。中世の肉類での、猟鳥獣肉の多さもこの本を読んではじめて実感がある程度もてたよ。

『コショウは十三世紀にはもう、ニュルンベルクの施療院の貧民に与えられる食事に登場する唯一のスパイスであった。(中略)コショウは「百姓のソースで、そら豆やさやえんどうに加えられる」』(P39)これはかなり意外な事実だ、イメージかなり変わるわ。

カワカマスや鯉が、主な食用淡水魚。カワカマス、どんな魚でどんな味なのかいまいちイメージつかんが、そんなポピュラーなものだったとはな。

パリでは1313年の時点で500件を超える居酒屋があった、というのはすごいな。たしか日本でそういう食べ物とかを出すような店が出るのは、だいぶあとの時代になってからだから、余計にすごく感じてしまうのかもしれないけど。