密室の如き籠るもの

密室の如き籠るもの (講談社文庫)

密室の如き籠るもの (講談社文庫)

内容説明
刀城言耶第一短篇集文庫化。旧家に現れた謎の女。彼女が来てから何かが……。凄惨な事件を刀城言耶が解明する表題作他、全4編収録。

旧家の猪丸(いまり)家に現れた記憶のない謎の女・葦子(よしこ)は、開かずの間だった蔵座敷(くらざしき)で“狐狗狸(こっくり)さん”を始める。だが、そこは当主・岩男(いわお)の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。表題作他、全四編を収録した“刀城言耶”シリーズ第一短編集。

最近ようやく自分が謎解きの予想もしない(できない)のに、ミステリーが好きな理由がわかってきたわ。僕はその人物のした動作で心情を読み解くことが苦手だから、最後の解決のシーンにおいて、登場人物たちの意図が披瀝されるというのが好き。それと、登場人物たちの関係性が白日の下に曝されるという、わかりやすさや、答えが最後についているという安心感(それに、事件・推理・解決すると、1つの関係性のはじめから終わりがだいたい見通せるようになっているというのも好きな理由だ)があるのが好きなんだということをようやく自覚した。まあ、どうも無理やり理屈つけたという気がしなくも無いし、他にミステリーについて自分が魅力を感じているところが言い表せていない気もするし、それに、なんか最近ミステリーはいまいち読めていないんだけどね(苦笑)

「隙間の如き覗くもの」
この短中編集の中で一番好きだが、いまいち言葉が出てこないなあ。最初のつかみの鬼が校長を追い掛け回すのを見るシーンと、喜納が奇妙な癖と幻視する性質を持っているというのが、荒唐無稽なのにリアリティがあるのと、それと真相のつながり具合が秀逸なのが好きなのかな。

「密室の如き籠るもの」
なんでそんなに出会って間もない人物に、恐れみたいなのを抱いている箱を使うのを許したのかわからんなあ。
250ページ以上ある中篇(?)だが、刀城が出てくるまで100ページ程度もあるので、そこまで読み進めるのが結構辛いなあ。
この家族の前で披露した推理がどうも根拠薄弱だなあ、と思ったらやっぱり真相は違ったか。というか、あの推理で他の人たちは納得したのかいな?だとしたら、よっぽど語りが上手いのかね、刀城。箱と何人も心臓発作との関係はただの偶然、あるいは祟りかで、別にそれに殺すための仕掛けがついていたというわけではないのね。