鋼殻のレギオス 22


内容(「BOOK」データベースより)
自律型移動都市が揺れる。世界を滅ぼす音が鳴り響く。ナノセルロイド・マザーI・レヴァンティンとの死闘を続けるレイフォンたち。しかし、力の衰えをしらぬレヴァンティンの前に、徐々に追い詰められていく。その時、鍛え直した新たな天剣がレイフォンの前に差し出される。「これで戦って、レイフォン」リーリンのその言葉に、レイフォンは―!?一方、新たな力を得たニーナもまたグレンダンに姿を現す。月の崩壊によって現れたものと戦う為に。自律型移動都市の命運を懸けた戦いは、最終決戦へ―。

 いよいよ物語も佳境に入ってきたなあ。次に本編が発売されるのがいつくらいかはわからないが楽しみだ。
 マザー=シュナイバルってことをすっかり忘れていた、というか、シュナイバルもマザーもなんだったかさっぱり覚えていないが。電子精霊たちのまとめ役とか偉い奴だというのは、この巻を読んでいうるうちにわかってきたが。つまり、全く思い出せなかったと言うことだが(苦笑)。
 カリアンがああいう活動したのは、ツェルニが包み隠さず話したからか。ただ、前の巻は大まかに覚えているが、それより前となると記憶が甚だ怪しいので、こういうのが既出の情報なのかどうかがいまいち確信を持つことができない。
 レギオスの世界は、サヤが作った世界で、サヤが死ぬと滅んでしまう。そういう構造になっていたんだ。しっかし、考えてみるとこの世界は宗教がないのか知らないが、サヤ(世界の創造主)が出てきても、崇拝や畏敬の念をもってみる人が全然出てこないのはすごいなwまあ、知る人が少なく、知る人はそれどころではない世界の機器と直面しているから起こりようがないということかな。まあ、それに、とてもじゃないが人に優しい世界ではないから、そういう面でも実力主義が徹底していて、人に縋ることを由としない精神的特質をもっているのかねぇ?
 グレンダンの戦いで大穴ぶち明けた技、単に女王の個人での技能ではなく、電子精霊グレンダンとのあわせ技みたいなもんか?というか、あの時かなりの距離から穴をあけたから、異常に強いと思っていたが(いや実際世界を滅ぼそうとしている、レヴァンティン相手に1人である程度の時間受け持てるんだから尋常でなく強いんだが)、よく考えたら剄の技って距離次第でどの程度威力が減衰するものなのかな?というより、都市そのものであるグレンダンが助力しているのなら、かなりの度合い強くなれる、のか?いやあ、女王が単なるパワーなら(図抜けて)一番強いことはわかるけど、それがどの程度突出しているのかがわからんなあ。女王やリンテンスから比べたら、小さな役割だがレイフォンが戦いに加わっていられているから、そこらへんのパワーバランスがわからなく、それとも単に僕のレイフォンへの評価低すぎるのかな?
 アルシェイラが単独で戦うのを望んだのは、自分には連携が取れないと理解しているからと、急に力を持ったリーリンが変に介入すると計算がまるきりつかなくなるからそれを嫌ったのかな?それらと同時に友人としてリーリンを戦わせたくないというのもあるのかな?それに本編で自ら言っているように、単独でやるのを望み、王家として自分だけでけりをつけたい(あるいは、武芸者として強者とやりたい)という気分(「我儘」)もあるだろうが。
 ニーナ、『わたしは、本当に臆病者だったのだな』(P77)ということを発見したが、そうだとすると、四面四角な委員長的な言動だったのは、自分のそうした面を自分自身からも隠すためという理由もあったのかもね。ニーナ当人も言っているが、大祖父が死んで彼と共に戦ってきた電子精霊たちは、戦うためにはニーナという、戦う覚悟の定まっていない人間を鼓舞して、自らを託すしかないのは確かに哀れだ。しっかし、ニーナ、とんとん拍子でパワーアップしていくな、実に主人公的だ。彼女のパワーアップを見ていると、他の様々な作品で主人公相手に理不尽さを嘆くようなキャラの気持ちがちょっとわかるようにw
 リーリンも自分が役に立つのかと疑義の念を抱き、開き直って、自分も参戦しようとしたが、あっさりと必勝だと思っていた能力が効かず、レイフォンが錬金鋼を犠牲にして助けに入らなきゃ死んでたという失態。自分しかやれないという義務感に思いつめんのもいいが、自身の身命を懸けた戦いをしたことがなく、力を持ってから日も浅いのに、キャリアでは圧倒的に上で力でも人類の中で屈指の人たちと比べて変に自信喪失しているという風に、変にプライドを持つのはちょっとな。まあ、あの2人が来るまでは、女王と自分の2人、というか、もし女王が敗れたら自分が!という覚悟をしていたのだから、本来居ると想定してなかった2人がやっているのだから、自分は何もしなくてもいいのか、という焦燥感に駆られるのはある程度は理解できるが。
 今巻では、心中でぐらぐらと揺れて、施行が同じ場所を行ったり来たりしているようなシーンが多いな。リーリンやレヴァンティンのような、今までそんなことなかった人たちが揺れているから特にそんな印象が強い気がするだけかもしれないけど。考えてみたら、レイフォンやニーナはいつもそんな感じだしねw
 リーリン、死したレヴァンティンに優しさを見せているのに、黒猫の「その優しさは必要なことかしら?あなたの苦労はその機械人形がいたせいなのに?」云々という言葉に、『……でも、もう動きません。これって、死んだんでしょう?』(P156)と返すのは、「これ」扱いはちょっとww、優しさの描写が台無しだ。と一瞬思ったが、「動かなくなったってことは死んだんでしょう」という意味かな?まあ、どちらにしても、手を握ってやったという行動ほど内心は優しくはない気がするがw
 レイフォン、天剣を拒絶して、その理由を自分にとってこれは「意地と挑戦」だからという理由なのは……、まあ、一旦持ったらややこしくなりそうだし、今までと変わらず流されかねないから、選択自体は正解だと思うが、それに、現状で戦うためだけを考えたなら持ったほうがいいが、その後の自分を考えると持たないほうがいいというのをしっかり理解し、天剣を使うようにいわれるのを拒絶できるというのは、まあ、成長したのかな。