つの大陸の物語 アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他

内容(「BOOK」データベースより)
アリソンに見送られたトラヴァス少佐は、軍用機に乗り旅立つ。しかし機体はその後、爆発とともにルトニ河へと墜落してしまい―。一方、リリアの通う第四上級学校では、“謎の転校生”トレイズを巡って新聞部メンバーが校内の大調査を開始する。すると、思いがけず臨時ロッカーで起こっている不審な現象が明らかに。彼らは、徐々に大きな事件へと巻き込まれてしまうのだった…。懐かしいあのキャラクターたちも勢揃いでお贈りする、胸躍るアドベンチャー・ストーリー×ドキドキハラハラワクワクドタバタ学園物語の完結編上巻。

 えーと、序章で出てきたサイラスって誰だっけ?一連のシリーズの最後を締めくくる巻の最初に出てくるってことは、今までに登場してきた人物だと思うのだが。あて推量で予想すると、「アリソン」にでてきた、ヴィルの友人で実家が金持ちの人が第一候補で、あとはアリソンの空軍の友人が退役して、しばらくほっつき歩いているとかかあ?
 アリソンはトラヴァスの母のことを、『この敬礼は、あの人への分!』(P22)などといっているようだが、彼女はヴィルのスー・ベー・イルでの家族のことも知っているというか結構親しそうだね。まあ、夫の家族だし当然といえば当然か。あと、そういえば、スー・ベー・イルでのヴィルの家族の情報って今まで出ていたっけ?出ていなかったか、単に忘れているだけか自信がない(笑)。ググって見たら、そのヴィルの養母って「アリソン」の1巻に出てきた、軍服を貸してくれた人か!しかし、この空港でヴィルの見送りに来たアリソンが茶目っ気を見せて真面目さを装いトラヴァス少佐に敬礼をしているシーンの23Pの挿絵は、アリソンは綺麗だし、ヴィルはさわやかで格好いいので好きだ!
 最後の巻になって、ヴィルが死ぬことはないだろうとは思っているし、下巻の12章の小タイトルが「トラヴァス少佐の戦い」なのだからたぶん大丈夫だろうとは思うのだが、飛行機事故だから心配な気持ちはどうしても完全には拭い去れないな。と、思っていたのであるがラストでアリソンが『まーた、”死にやがった”か!』(P262)といって笑みすら見せているので、わずかな不安も払拭された。
 3章のイクスの女王夫妻の会話の最後で、トレイズがロクシェ首都の上級学校に通い始めたと聞いてそうなんだと思ったが、巻末の「"一つの大陸の物語”シリーズPlayback」の「リリアとトレイズ VI」の挿絵の中にそのようなシーンがあったので、改めてパラパラとみ返してみると「リリアとトレイズ」の最後にリリアが通っている学校に転入してきたというシーンがあったことやリリアにトレイズが王子だということがバレていたことを、すっかり忘れていた(苦笑)。
 セロンの体つきはラリー以上に引き締まっているってそれは相当だな!そんなに筋肉あるというイメージでなかったから意外だった。日常シーンが好きだから「メグとセロン」はたまにパラパラと読み返してはいるのだが、それ以前のアクションが多い「アリソン」や「リリアとトレイズ」はあまり読み返さないから、かなり筋肉がついているというような描写があっても忘れている、というだけかもしれないけどね。
 しかし、風呂場でのトレイズとセロンの会話は、トレイズの頭のよさが表れているし、いままでなかった組み合わせであり、また、そういうそれまで接点がなかったキャラ同士の会話というのはこれぞオールスター、クロスオーバーの醍醐味と感じさせてくれるので、いいね。
 『おっぱいは高くつきましたね、先輩』(P204)なんとなく、「四畳半神話体系」の明石さんの声で再生された(笑)。いや、それだけなんですけど。
 マードック先生が『安心しろ。お前さんを殺させはしないよ。こういうときは、大人を頼れ』(P221)といって、新聞部の面々にあきれられているシーンには笑った。
 オーケストラ部の部長が、トラヴァス少佐たちが殺した導師様がしていた子供たちの人身売買の被害者だったとは知らなかった。こうした予期せぬシリーズ間のつながりは面白いな。
 あとがき、下巻は5月発売か!てっきりまた一年待たされるものだと覚悟していたから、思いがけず早く下巻が出るのは凄く嬉しい!
 巻末の「"一つの大陸の物語”シリーズPlayback」というのをみると、一連のシリーズは「一つの大陸の物語シリーズ」という呼称が公式になったのかな。そして、アリソンから見ると、このシリーズは完結するまでに11年もかかっていたのか!