オーバーロード 4

オーバーロード4 蜥蜴人の勇者たち

オーバーロード4 蜥蜴人の勇者たち

内容(「BOOK」データベースより)
平和な蜥蝪人の集落に、無慈悲な死の軍勢が迫る。種族を守るため、愛する雌と生きるため、立ち上がる蜥蝪人。一方、アインズの「実験」のため、出撃するアンデッドの大軍。不死者の王の命を受け、向かう指揮官はナザリック第五階層守護者である凍河の支配者、コキュートス。忠実なる彼の作戦とは。弱肉強食の容赦なき世界を目撃せよ。ドラマCD付特装版。

 アニメ「はたらく魔王さま」にて、ようやく長年抱いていた、人が演技していると思うと、どうも気恥ずかしくて、まともに見て、聞いていられないという変な感覚が抜けたので(アニメでもドラマでも、ずっとそう感じていた。ドラマの方は今も試してないからそちらでもその感覚が抜けたのかは不明だが)、今回ドラマCD付の特装版を買った。
 web小説で読んだ時は、リザードマン編からオーバーロードにはまったということもあり、リザードマン編はかなり好きなので、書籍版でもついにここまで出てくれたかと感慨深いし、嬉しい。
 冒頭からアルベドはぶっ飛んでるなあ、おかげでアインズは「……あ、はい……んん!もう……はぁ。アルベドよ、そろそろおふざけは止めにしよう。」なんて、かなり素に戻って困惑している返答になっちゃっている(笑)。ところで、「あ、はい」というのはひょっとして「ニンジャスレイヤー」ネタ?読んだことないからよく分からないが、同じ出版社から出ているし、そのネタは知っているから、どうでもいいことだけど少しネタかどうか気になった。
 リザードマン、190センチ超で100キロをゆうに超えるって、尻尾もあるから当然だが、尻尾の重さがどのくらいか推定できないから、「ゆうに超える」という微妙にふわっとした表現にしたのかな?とちょっと思った。
 そういえば、先触れを送る頃には、アインズは冒険者としての仕事をしているようだから、天候操作の魔法を使ったのはアインズじゃないんだ。web版ではじめて読んだときから、あの魔法はアインズが使ったと思っていた。何で今までそう思っていたかというと、<緑の爪>の会議の場での司祭頭の発言もあるから、そう考えて疑っていなかったというのもあるかな。まあ、もしかしたらwebと書籍とでは魔法行使者が違うのかもしれないけど。しかし、web版では天候操作を見て、第6位階を司祭頭が想定しているのに対して、書籍版では第4位階をまず想定しているから、多少絶望感とか逃げなければという切迫感が薄れている感じだな。
 ナザリック9階層に、様々な施設や店舗みたいなものがある、「アーコロジー的イメージ」があったので、作ったというのは、いいね。アーコロジーという言葉は、今回使われていてはじめて知ったが、web小説とかでもそうしたアーコロジー的なものがあるやつが好きだ(「Re:Creator」とか「混沌より出ずる軍団」とか)。
 そうした9階層のバーで、シャルティアが飲んでいるところが巻頭のイラストにも書かれていたけど、店主がイライラしているが、イラストを改めてみると、そちらではビキビキ(青筋じゃないだろが、青筋みたいなもの)が描かれていて笑った。そして、ペンギンのエクレアが、「そちらの彼女。これをどうぞ」といって滑らせて届けようとしたが普通に失敗したのは可愛らしい(笑)。
 ザリュースとゼンベルの旅人の焼印は、巻末のイラストだと何だかペンダントっぽく見えるなあ。いや、2人(?)のイラストは素敵なんだけどね。
 メイドは肉も焼けないのに、デミウルゴスは骨の椅子を作ったり、細工品を作ることができるのは不思議だなあ。そういった職人系のものもありそうなのに。どちらも付与効果が付けられないが、一応出来るというのなら素直に納得できるのだが。実はそのメイドには、ギルドのメンバーが書いたフレーバーテキストに、料理が致命的に駄目とかかかれていないかい?(笑)
 ロロロが自分の生命を省みず、家族のために走るシーンはいいわあ。特に、そのうちザリュースのようなリザードマンにいずれ変わると考えていて、そうしたら何をしてもらおうか、なんて思っているのはすごく好き。正直、動物物でお涙ちょうだい的な内容のものは苦手だと今まで思っていたけど、こういうのを好きだと思えるということは、本質的には意外と好きなのかもしれない。
 コキュートス、仮にもシモベ、一応知性あるイグヴァを殺されているのに、敵を賞賛するのはやっぱり武人だね。アインズは、たぶん、気づいてないだけかな、少なくともweb版では、書籍版ではそこらへん割り切ってそうとも思えるけど。
 ヴィクティム、なろうでの活動報告を読むと、書籍版だけのキャラなのね。しかし、台詞がめちゃくちゃ読みづらいな。
 コキュートスが、リザードマンを殺しつくさないように提言するシーンは、アインズが余裕を持ってコキュートスの発言を慈父のように見ているように感じて素敵。今までの積み重ねがあるからなおさら感じるが、やはりweb版とは違って格好いい。まあ、本人的にはなかなか疲れる出来事だったようだが、書籍版ではちゃんと、様になってたよ。
 しかし、スクロールが作れる皮が取れる動物のことを、web版とは違いアインズはしったかではなく、ユグドラシルのキマイラと似たものと勘違いしちゃったと改変されたのは、書籍版ではしったかはあまり似つかわしくないと思っていたから、良かった。まあ、シャルティア相手にワールドアイテムを使ったやつへの警戒が少し頓珍漢だったことを指摘されたときに、知ったかしてしまいましたが。しかし、幕間を見るに、ワールドアイテムを使ったやつは死にはしなかったのか、てっきり命令されていない状況でほうって置かれていたから、相打ち的に殺せたのかと思っていたよ。
 リザードマンたちが魔法の武器を持ったスケルトンたちを見て驚愕するところやゼンベルが、こんなことをしでかすやつからすれば俺たちは虫けら同然だと言うシーンは、アインズの強大さがよくわかるから好きだわ。というか、この示威行為から再度の宣戦布告までのシーンは全部好きだわ。
 しかし、コキュートスはザリュースらが惜しいと思ったのに、結局殺してしまった、というか殺すことが中心人物だからほぼ確定しているのであれば、わざわざリザードマンを殺しつくすことに反対した意味があまりないんじゃ?それとも、武人としての彼らへの敬意から、守りたかったものは蹂躙しないでやろうという慈悲から鏖殺に反対したのかな?しかし「アインズ様ニ伺ッテイタガ、オ前達がヤハリ最後マデ残ッタナ」といっていたが、自分で見ていたし、彼らを賞賛していたのは自分なのに何を言っているのか、と思ったが、アインズ様もそれなりに認めていたというのが彼にとっての最大級の賞賛だから、わざわざ「アインズ様」という言葉を使ったことで賞賛したつもりだったのかな?まあ、それはピントがずれた、伝わっていない賞賛だとは思うけど(笑)
 しかし、氷柱を立てて、改めて戦うかどうか問うて、ここまで来た戦士の幾分かを逃がす選択肢をあたえるというシーンは書籍版で新たに加わったシーンだが、いいね!ゼンベルがいい奴といっているのも頷ける。それに、後に彼が統治にあたることを考えてもいいことだし。まあ、彼自身はそんなメリットを考えてやった行動ではなかろうが。
 しかし、アインズ自ら、クルシュにザリュース復活の選択肢を与える悪魔の選択を迫るというのは王っぽくないな。実際に、アインズが復活させるとしても、そうした選択肢を持ちかけるのはもっと下のものがやるべきだろう。まあ、ザリュース復活は嬉しいんだけど、他に復活させるのに持っていくことができなかったのだろうかとも思ってしまう。
 ドラマCDは、世界を滅ぼすとされる魔樹(ピニスン談)との戦闘だが、普通にこの世界としてはかなりの強い敵だよなあ、レベル80台+体力がめちゃ高いということだから、下手したら、例のワールドアイテム使ったやつよりもレベル高い可能性すらあるからなあ。まあ、敵が見えていて裏が無いからアインズ様も楽〜に戦えて、今回のようにドラマCDで描かれるに留まり、本編では描かれないほどの小事に(笑)。CDのジャケットにピニスンとハムスケが描かれているが、この2者が守護者たちの戦闘を見たときのピニスンは、なんだよ、なんだよと騒いでいるのに対して、もう慣れているハムスケという彼らのリアクションの違い(笑)。特に好きなキャラだというわけでもなかったが、そうやって、騒いでいるピニスンは可愛い(笑)。あと、アインザックとラシケルの会話、というか声が、結構好きだなあ。