弁護士が教える 分かりやすい「民法」の授業

弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業 (光文社新書)

弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業 (光文社新書)

内容(「BOOK」データベースより)

敏腕弁護士が2日間集中講義!親しみやすいストーリー仕立てで、むずかしい民法が楽しくスラスラ理解できる。

 民法の基本的な部分や判例・通説などが読みやすくコンパクトに書かれている。学説などは書かれていないけど、そうしたものを省いた分だけ新書の薄いページ数の中に、代表的ないくつかもの条文がどうしたら適用するかについて収められている。そして巻末に用語索引、条文索引がついてあるのは新書には珍しいが、ちょっと見返すときや忘れたときなどに便利なのでこうした索引はいいよね。
 前半の一日目(一部)の「基本を勉強しよう」でも例がちょこちょこ出てきたし、後半の二日目(二部)では創作の簡単なその条文を使ったストーリーとともに、その創作のケースの場合はどのようになるかが書かれているので、抽象的な話ばかりよりもずっと理解しやすくていいな。だけど、出てくる例が、経験上そう言う話が多いからそうしているのかもしれないがドロドロした話だったり、やたらと色恋の話が多かったりするのは読んでいてちょっと辟易してしまう。
 民法の基本原理は4つあり、権利能力平等の原則、所有権絶対の原則、契約自由の原則、過失責任の原則。なんかもっと色々あるような気がしていたが、民法の基本原理はこの4つなのか、そう思うと案外基本中の基本は少ないのだな。
 一つしかない物や複数あるものでも分離して特定すると特定物となり、物を渡す契約をしたがそれが本人の過失によらずして消失した場合に、特定物の場合債権者主義で、その物を受け取る側の人が危険を負担する(つまり物が消滅しても金を払わなければならない)。一方で不特定物(いくつもあるもの、本とかビールとか米みたいな)の場合は、債務者主義でそれを引き渡す側の人が危険を負担し、消失しても再度調達して引き渡さなくてはならない(物が消滅しても、再び同じものを購入して相手方に物を引き渡さなくてはならない)。
 2日目2限目の代理の話は、ストーリーパートだけでは果たして結局表見代理が成立するのかどうか微妙な書き方をされているから、ちょっと困る。うーん誰に何を委任するかわからなかったが、何とかしてくれると思い白紙の委任状に名前を書いたが、その委任状を使って勝手に借金をされた場合には表見代理は成立しないということでいいのかしら。
 連帯保証人となっても何の音沙汰(相手から請求されること)もなく10年以上が経過すれば、消滅時効になるというのは以外だった。今までてっきり、借金した当人に10年の間に請求していれば、消滅時効にかからないのだと考えていた(つまり時効についても借金した本人、連帯保証人は同じものとして扱うものだと[両方消滅時効が成立しないと事項とならないもの]だと考えていた)が、そうでもないのか?どうなんだろう。
 使用者責任で被害者に損害賠償を払った使用者は被使用者(従業員)に対して、求償権をもつ(代わりに払ったんだけだから、自分で払えということ)。しかし不法行為責任は被害者の救済だけでなく損害の公平な分担を図るために定められた規定と考えられているため、事例によって求償権は制限される。たとえば従業員を酷使した結果の事故の場合などの事例では制限される。