新約 とある魔術の禁書目録 11

内容(「BOOK」データベースより)

「そういえば初めて『あの人』と出会ったのも、あの交差点だったかしら」食蜂操祈が初めて上条当麻と遭遇したのは、数多の魔道書を司る白いシスターが魔術の世界から逃げ出し空から降ってくる、ずっと前のことだった。今でも、食蜂操祈は覚えている。ツンツン頭の少年との想い出を。はじめは、新手のナンパかと思った。ある時は、水着を見られた。ある時は、バッグで頭をぶん殴った。ある時は、間接キスを経験させられた。そして、最後に―。命を救われた。それは、彼女の人生の中でも、一、二を争う『幸せな時代』。精神系最強の能力者『心理掌握(メンタルアウト)』の、大切な『記憶』だった。食蜂操祈の過去を紐解く物語が、今始まる。


 漫画「とある科学の超電磁砲」で、強い存在感を放っていた食蜂がついに本編でメインをはる。今回は食蜂視点で物語は進む。今回は丸々科学サイドの話。
 あとがきにもあるように、久しぶりに世界規模の話じゃなく、パーソナルな問題の話だったり、1冊250ページという短さでまとまっているので読みやすい。やっぱり個人的には、シリーズ初期とか今回みたいな特定の一人を救う物語くらいのスケールの話のほうが好きだなあ。
 そして以前からそうかもとは思っていたけど、ついに食蜂と上条が彼が記憶を失う以前に知り合っていたという設定が明らかにされた。ずっとその設定が真相を明かされず、ぶらかされたのは気になっていたから、それが明らかになってすっきりした。
 そして彼女は上条を通して、雲川芹亜とあるようで、上条と雲川が記憶を失う以前はかなり親しかったことがわかる。雲川と上条の出会い・親交を深めるきっかけは知らないけど、おそらく他にも多く結んでいるような関係なんだろうなとは想像できる。
 1年前の上条と出会いからの別れまでの物語がつづられ、その過去の話を追憶しながらゆかりある場所をめぐっていると、その記憶が偽りなのではという疑念が生じたため、その記憶の真否を探る。探っているうちに彼女に誤った認識をもたらしたことに関係した奴らが登場してきて邪魔をするが、それを退けながら彼女は正しい認識を得るが、それを知った認識を改変した奴らの親玉も出てきてそいつと対決する。そして敗勢になったところに上条(ヒーロー)参上。相変わらず上条はいいところ持っていくねえ。
 食蜂、1年前は上条に「貧乳」といわれるほど胸なかったのか。今は超電磁砲において、御坂に「あんた本当に中学生」なんて疑問を口にするほどの体系なのにねえ。というか、その他にも彼の言動を見たり、彼女に「キンキラ小娘」なんてあだ名をつけようとしたり、御坂には「ビリビリ」とあだ名付けていたりしているのなんかをみても感じるのだが、記憶を失う前の上条さんってちょっと、いや大分口が悪いよね(笑)。
 雲川と食蜂のシーンで、上条の独占云々と言っていたけど、何で偽の記憶を埋め込むことがそうしたことに繋がるのかと思っていたら、最後まで読むと上条が彼女を記憶できなくなっていることを知って、それが偽の記憶で食蜂が彼に近づかなくなればという仮定の話ね。でも、それを知ってから読むと、食蜂はそれが嘘なのではという期待もわずかながらも持っていたとわかり、ちょっと切なくなる
 雲川もそのときの彼女との絡みで上条が相当好きだとわかるから、始めてそのシーンを読んだときは、そちらの方に気を取られてしまったけど。
 記憶が埋め込まれたわけではなく、特殊な技術で思い出の光景をいじっていたことを暴く。
 しかし今回で食蜂のヒロイン力が爆上げされているなあ、元々かなり好きなキャラだったけど、今回のエピソードをみて、叶わぬことと知りながらも上条が誰かと結ばれることが描かれるなら彼女と結ばれて欲しいと思ってしまった。
 食蜂が上条の記憶喪失を知っていたみたいだからなんでだと思っていたら、1巻での記憶喪失を知っているということではなく、1年前に彼女を助けたときに死亡寸前の状態になった上条は、脳の損傷でピンポイントに、彼女を記憶することができなくなってしまったから、それを知っていて自分との記憶を覚えていないことを知っているという悲しい真相みたいね。