2014年に読んだ作品、ベスト20 +α

小説 4
「大聖堂 (上・中・下)」

 中世の描写がいい。途中で読むの辛いけど、その分だけ最後のハッピーエンドが嬉しい。
「海の底」
海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

 有川作品で「シアター」と同じくらい好きかも。個人的に艦内の動きより、地上での怪物に対処している人たちのプロフェッショナルな仕事ぶりが格好良いし、面白くて好き。
「IT (全4冊)」
IT〈1〉 (文春文庫)

IT〈1〉 (文春文庫)

IT〈2〉 (文春文庫)

IT〈2〉 (文春文庫)

IT〈3〉 (文春文庫)

IT〈3〉 (文春文庫)

IT〈4〉 (文春文庫)

IT〈4〉 (文春文庫)

 子供時代のリアリティのある描写がたまらない。それを読めるだけでも幸せ。
「夜市」
夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 民話的雰囲気があって、ほのかな不気味さをたたえながらも、魅力的な世界観。




ライトノベル 2
理想のヒモ生活 5」

 この巻からweb版から分離。日常も悪くないけど、こうやって善治郎が活躍しているのもいいね。
ログ・ホライズン 8 雲雀(ひばり)たちの羽ばたき」 にゃん太の優しさ、格好良さが光る。




ノンフィクション 6
「遺体: 震災、津波の果てに」

遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)

遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)

 あんまり泣けるなんて表現使いたくないが、泣ける。
 近所の人間が、家族が、ささいな条件の違いで生死を分かってしまう。
 震災時にそんな衝撃を味わった人が凄まじく多かっただろうことを思うと、改めて東北大震災が大事件ということを、そしてとらえきれないほどの大きさのスケールの事件だということを、実感させてくれる。
「トルコのもう一つの顔」
トルコのもう一つの顔 (中公新書)

トルコのもう一つの顔 (中公新書)

 抜群に面白いノンフィクション。トルコ政府からは別の言語はなしているのにトルコ語の方言であり、トルコ民族とされているトルコ内の少数民族を密かに調査して、それがトルコ政府から危険視されて、トルコに移住して安楽な生活を送らないかなどと取引を持ちかけられたが断り、一学者ながらトルコ政府の役人と切ったはったの交渉をして、最後に少数民族の調査をすることを認めさせるというのは面白い。
「日本の路地を旅する」
日本の路地を旅する (文春文庫)

日本の路地を旅する (文春文庫)

 被差別部落出身の著者が、全国の路地(被差別部落)を旅する。差別について妙に主張をするようなところもなく、偏りないバランスの取れているので読みやすいし、良質な紀行文としても楽しめる。
「忘れられた日本人」
忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

 著者も本書も有名だったのに、今まで読んでいなかったことを後悔。
フェルメールになれなかった男」
フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)

フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)

 凄く読み心地がいい。フェルメール贋作師。彼が作成した「エマオの食事」はフェルメールの「傑作」とされた。
 とてもリーダビリティーに優れている作品で非常に読みやすく、読んでいて楽しい。
「アナバシス」
アナバシス―敵中横断6000キロ (岩波文庫)

アナバシス―敵中横断6000キロ (岩波文庫)

 古代ギリシャ、ペルシアでの王位継承戦で雇われたギリシア傭兵軍。雇い主が敗れ、亡くなったことで、敵に追いかけられたりしながら(あと掠奪したりとか…)も、故郷のギリシアの地までの移動を描く。著者はソクラテスの弟子で、このギリシア傭兵軍の中で指導的な地位にあった人物。以前から気になっていたけどようやく読めた。現代とはまるで違う意識やあり方を読むのは興味深いし、面白いエピソードも色々あっていいね。
「人類が知っていることすべての短い歴史 (上・下)」
人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)

人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)

 ユーモアのある非常に魅力的な語り口で書かれているので、知識がなくとも読んでいて楽しめる宇宙史、科学史。この本を読むと思っていたよりもずっと人類が知らない、わかっていないものというのは多いということを実感する。




歴史 7
「保元・平治の乱 平清盛 勝利への道」

 当時の人々の政治的動きや人間関係が細かに描写されていて、べらぼうに面白い。
「近世大名家臣団の社会構造」 徒士足軽の間に大きな線。足軽は譜代もいるが、主に城下近郊の農民が供給源で、過剰労働力を抱えたそうした農家が終身でなく人生の一時期やるものだった。

「疫病と世界史 (上・下)」

疫病と世界史 上 (中公文庫 マ 10-1)

疫病と世界史 上 (中公文庫 マ 10-1)

疫病と世界史 下 (中公文庫 マ 10-2)

疫病と世界史 下 (中公文庫 マ 10-2)

 保有している病も文明社会が持つ武器で、欧州人が持っていて適応していた疫病によりはじめてその疫病に接した元からアメリカの人々が多く死亡したという例ほど劇的ではなくても、そのほかの場面でも軍事力と並んで大きな役割を果たしたという観点はなかったので新鮮。

「戦争と世界史 (上・下)」

戦争の世界史(上) (中公文庫)

戦争の世界史(上) (中公文庫)

戦争の世界史(下) (中公文庫)

戦争の世界史(下) (中公文庫)

 ヨーロッパが軍事的優位を取れた理由、武器よりも教練によって軍隊内の連帯感が上がり、兵の質が上がったことが大きい。

「イギリス 繁栄のあとさき」

イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫)

イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫)

 この本で近代世界システム論という興味深い理論を知る。
 「近代世界システム」論によると、「世界システム」の内部には中核をなす地域と、その中核に従属する周辺地域(その中間の半従属的地域もあるとする論者もいる)という構造を持っており、周辺は中核のための食料・原材料・エネルギー源などを提供している。そして両地域間の交換は「不等価交換」になっていることが多く、労働の成果が中核に集中する仕組みとなっている。16世紀以降に成立した「近代世界システム」のなかで「中核」は西ヨーロッパで、周辺は東ヨーロッパ・カリブ海ラテンアメリカであった。その頃の周縁部、従属地域では東欧は農奴制の形態をとる農業経営が増えて、カリブ海ラテンアメリカでは奴隷制などの強制労働がおこなわれて、それらの生産物を西欧に輸出していた。西ヨーロッパでは「自由な賃金労働」が広まりつつあったときに、周辺地域で奴隷制農奴制などの非自由労働が幅を利かせるようになったのは、それらの地域の後進性というよりも、その2つの現象は「近代世界システム」の表裏となる現象で不可分なもの。

「日本神判史」

日本神判史 (中公新書)

日本神判史 (中公新書)

 著者は専門的な内容だけど非常に理解しやすい文章を書く、稀有な歴史の専門家。この本でもその手腕をいかんなく発揮している。
「島人もびっくりオモシロ琉球・沖縄史」
島人もびっくりオモシロ琉球・沖縄史 (角川ソフィア文庫)

島人もびっくりオモシロ琉球・沖縄史 (角川ソフィア文庫)

 今まで沖縄の歴史にちょっと興味あったけど、ろくに知らなかったので、読みやすく手に取りやすいこの本はいいね。それにあとがきに、歴史研究界では常識になっていることを書いたとあるので、変に誇張したり単純化していることもないだろうというのもいいね。




+α
web小説 1
本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜
 web小説。序盤はピンとこなかったが、領主の養女となって、身の安全に気をもむことがなくなり、また新しい事業に取り込める資金を得て出来ることが増えてから一気に好みに。今月末から書籍化がなされるようなので、買いまする。



やる夫スレ 2
やる夫達はアシハラに夢を見る
 今までこんな上質なファンタジーを見逃していたなんて! と後悔する、少年マンガ的面白さがあり、バトルシーンが魅力的なとても面白いファンタジーのやる夫スレ。 

【野球】 4人の伝説の男達  【オリジナル】
 史実を基にしたものでない、オリジナルの野球系のやる夫スレの中でも屈指の面白さ。
 ペースは遅めだけど面白いし、今後更に面白くなりそうな気配がぷんぷんとする。



動画 2
「レッツゴー!!関西探偵団」
D
 跳躍卓と同じBGBというTRPGサークルの動画。面白くないわけがなかろうて。
 コメディ(カオス)系TRPGのリプレイ。立ち絵の絵柄もいいし、ぶっ飛びぶりが面白い。

「ひと夏のマリオカート
 今年はマリオカート動画にとてもはまる。出場者全員の視点が見れる実況者内での大会が色々とあり、それが面白いんだ。
 そうしたマリカ大会が良く行われるようになったきっかけとなった大会が「ひと夏のマリオカート」。