Fate/strange Fake 2

内容(「BOOK」データベースより)

冬木と呼ばれる地で語られる、どこにでもあるような噂話『蝉菜マンションの赤ずきん』。その話には、噂では語られぬ続きがあった。米国・スノーフィールドにて紡がれる、都市伝説の後日談。その怪談の主役、アヤカ・サジョウが巻き込まれたのは、生半な流言飛語などよりも遥かに荒唐無稽な―偽りだらけの聖杯戦争だった。「問おう、汝が俺のマスターか」半壊したオペラハウスの中、アヤカの前に佇むのは『セイバー』と名乗る騎士。聖杯戦争の仕掛け人たちですら与り知らぬ謎のサーヴァントの参戦により、事態は混迷を極めていく。そして、市内のカジノビルで賭博に興じるギルガメッシュは、そのとき―。


 思ったよりも1巻から2巻が出版されるまでの間が少なかったのはありがたい(個人的に1巻購入できるまでに時間を要したということもあるから、よりそう思うというのもあるだろうが)。今後もこうしたペースで出るのかはよくわからないけど、もしそうだったらうれしいな。
 冒頭の間章で、穂群原学園弓道部の後輩たちの話で、OGの美綴や先生である大河といったFate/stay nightなどに登場するキャラクターの本編(と表現していいのかわからないが)後の変わらぬ姿がちらりとでも垣間見えるのはちょっとうれしい。
 ギルガメッシュはマスターである少女ティーネに何度も助言的なことをしているのを見て、こいつこんな親切なキャラだったっけとちょっと意外に思った。まあ、stay/nightもzeroも読み返していないから、他の印象が強くてそうした側面に私が気がつかなかったというだけなのだろうとは思うけど。あ、Zeroで言峰綺礼に自分を出すように促していたけどそれと同じことか。それで言峰綺礼は愉悦(悪行)に目覚め、ギルガメッシュを肯定していたかという印象が強くて、今回の本当に自分の意思かと少女に尋ねていることと一致しなかったが、そういうことか。
 それから沙条アヤカは直接呼び出したわけでもなく、マスターとサーヴァントの関係となったわけでもないのだが、セイバーとパスが結ばれていて、そのために彼にあれこれと世話を焼かれながら共に行動することになる。ちなみに彼女は正式なマスターでなく、マスターとなる気もないため、サーヴァントの能力を見ることができないようだ。
 アサシン陣営対キャスター陣営が早速ぶつかり合うが、まだ脱落者は出ずに、もう一つの、本命の聖杯戦争も始動して、もう一通りのサーヴァントの召還を試み、2人目のアサシン、8人目の英霊の召還も行われた。さらにラスト近くでギルの前に2人の謎の英霊がさらに登場とあいなる。そういうことで新たな陣営が増えてきて、2巻目なのにそれでは確かに前回解説の奈須さんが語っていたように絶対5巻では絶対に収まらなさそうだ(笑)。
 しかしキャスター陣営はキャスターの作成した宝具をもった警察官の魔術師集団で戦闘しているが、それでアサシン相手には犠牲を一人も出さなかったが、そのように思っていたよりも戦えていることはちょっと意外。結局この戦闘での損害はアサシンのマスター相手に、そいつの力を計りかねているうちに一人の手をもってかれたのみで死人は出ずに済んだ。
 こうした万全の準備したって風に集団でかかる連中って、強キャラの力を見せるために使われて、そういうキャラに蹂躙されて終わることが多い気がするから、そのように集団でとはいえ、英霊相手に案外いい勝負できていることを意外に感じた。
 それはそうとアサシンのマスターであるジェスターは吸血種であり死徒、そして魔術師集団との戦いとか自信を見るに、英霊であるアサシンよりも強いようだ。そしてそれよりも強いセルバンテス神父。
 しかしジェスターと警察官たちの戦いで、警察官たちに代わりジェスターと戦うために長髪としてコーヒーをかけて、俺のおごりだと言ったけど、それに対するジェスターの『受付で無料支給してるこーひーだろうがぁッ!』(P175)という返しは、つっこみどころそこかよ! というズレているところに笑う。
 聖杯戦争の監督者としてやってきた、やたらと強いサイボーグ神父セルバンテスとかキャラ濃いなあ。しかしそのキャラが出てきたのを見て教会にはサイボーグ化とかそうした技術もあるのかと思っていたが、あとがきを見ると原作者のOKは出たのだろうけど、どうもノった結果生み出されたもので、最初からもともとそうした技術の設定があったからこそ書いたというものではなかったみたいだ(笑)。
 セイバーはエルキドゥ(ランサー)相手に同盟を申し入れ、それに対してエルキドゥが答えを出そうとしたところでこの巻は終わり。