レッドドラゴン 6 第六夜 下 果ての果て

内容(「BOOK」データベースより)

伝説の魔城「契りの城」の奥深くに辿り着いたスアロー、婁、エィハ、忌ブキ、禍グラバら五人の英雄たちの前についに現界し、闘いを挑む“赤の竜”!彼らの持てる限りのすべての運命を賭け合った至高の最終決戦を通じて描き出される人と竜、そしてこの世界そのものの“新しいかたち”とは―!?英雄たちの長き旅の終わりにふさわしき、瞠目必至の決着と伝説の完成を読撃せよ。

 最終巻。ネタばれ有りです。
 今回は丸々一冊、赤の竜との戦い並びにそこに集った各勢力間の乱戦が描かれる。各勢力、プレイヤー同士の思惑の違いがあり、そして脱落者が幾人も出て、PCでも安心できない戦いの模様になる。そして長い闘いだけど、最後に赤の竜を倒したものが力を得られる設定だということもあって、最後までどうなるかわからない展開であったのは良かった。
 ずっと以前に読んだweb版で、最後の終わりは覚えていたが、そこに至るまでのラストバトルがどういう展開だったかについてはかなり忘れていたので、そういえばそうだったわと思い出しながら読了。例えば、この最後の戦いの前でスアローが忌ブキとエィハに助力する展開になったこととかはすっかり忘れていたなあ。
 赤の竜が語る人間の進歩、『一部異能者だけが意識していた生体魔素の活用を、魔術というカタチで学問にすることに成功した。』(P127-8)一部異能者、忌ブキのような皇統種のこと。それを見る限り前回黄欄の勃興(霊母の竜殺し)とともに、魔術が広まったとかあったと思うけど(勘違いだったらごめんなさい)、それ以前にも実際いたかどうかは分からないけど理論上は魔術を使えたということかな。竜を殺して世界の法則が変化したから魔術が行使できるようになったと思っていたけど必ずしもそういうわけではないのだろうか。もちろん異能使い以外が魔術が格段に使いやすくなったとかの影響はあると思うけど。
 最後に自分の身を削る技を使い、さらに最後に取った不屈の闘志というスキルがここに活き、そして忌ブキにそんな威力の攻撃できると思わなかったようなダメージ(4桁)を叩きだして赤の竜に最後の一撃を食らわせるとか全体通してみると圧倒的主人公だよな忌ブキ。
 エィハは忌ブキの剣であり、彼を盛りたてるという選択をして、他のプレイヤーキャラは既にキャラとして完成されていることもあって他の者が勝利したら、そのプレイヤーの物語となったように思うが、忌ブキが勝者になったことで、まさしく赤の竜の物語であり、舞台となったこの島の物語だったなという印象になったように思う。
 未熟だったが赤の竜との縁があった忌ブキが物語の中で成長して、赤の竜の「力」を継ぎ、普通の少年が最後には王となるという見事な王道物語として終わる。まさに「レッドドラゴン」の物語としてきれいに終わったという感じがある。だからこれ以上ない終わりかなと思う。
 これで決め切れてなければ、忌ブキも最後まで肝心なところで決まらないキャラとなってしまい、そして彼の決意とかエィハの献身とか色々台無しだったので、この終わりで本当によかったわ(笑)。
 巻末には、実際に第六夜から登場したキャラのフィギュアの写真、そしてweb版のトップに掲載されていたイラストが載っている。
 しかしやはりフィギュアは最初はローverをつくっていて後につくりなおしたのね。また<赤の竜>(第二形態ver.)についてのしまどりるさんのコメントで『性質上、多くの情報が伏せられたままラスボスを描く』と書いてあって、やっぱり色々伏せられながら書いたんだ。と、その辺少し気になっていたので、ちょっとすっきり。いや具体的にどのくらい伏せられていたのかとか、他に本編に登場はしていないけど実は書いていたキャラとかいそうで、そういうのがいたならばそのキャラの見た目と設定についてもちょっと知りたいな。今更だが「RPF レッドドラゴン ワールドガイド」買おうかな。ううむ、これも文庫化してくれぬものか。