ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 8

内容(「BOOK」データベースより)

軍神アレス率いる王国軍の突然の来襲。迷宮都市へ進撃する軍勢その数、三万。迫りくる軍靴の音に、オラリオは―何も変わらなかった。強過ぎる冒険者達の手によって市壁の外で侵略者達の悲鳴が上がる中、オラリオは平穏な日々を過ごしてゆく。小人族の求婚、愛しのボディガード、街娘の秘密、神々への恋歌―そして女神が紡ぐ愛の歌。神と子供達が送るささやかな日常編!

 短編集。ベル以外のヘスティア・ファミリアの面々だったり、ベルを担当するギルドの受付エイナなど、主人公以外の主要キャラを主役にした短編がいくつも収録されている。しかしベルの出番が少ないわけではなくて、普通にどの短編にも顔を出しているし、その主役の人とベルの話となることも多い。そして今回は恋愛要素多め。
 軍神アレス率いるラキア王国軍がシリーズの舞台となっているダンジョン都市国家オラリオに戦いを挑んできたが、レベル的に戦力差がありすぎることもあって、オラリオの様子はいつもと変わらない平常運転。オラリオ側は相手方にも死者を出さないように調整して戦っていることからも、いかに戦力が比較にならないほど離れているかが伺える。また、オラリオ住民からしてみれば、アレス・ラキアが侵攻するのは「またか」と思うような風物詩みたいなもののようで、牧歌的な雰囲気さえ漂う。
 「一章 とある武神の恋歌」タケミカヅチに思いを寄せている命が主役で、その思いについて書かれる短編。
 ヘスティア・ファミリアに入らなかったダフネとカサンドラは結局ミアハ・ファミリアに入ったのか。二人がヘスティア・ファミリアに入らなかったのは少し残念に思っていたが、直接入らなくてもその友好ファミリアであるミアハ・ファミリアに入ってくれて、今後も今回のようにちょい役が多いかもしれないけど出番がありそうなのはちょっとうれしい。
 「二章 パルゥムの求婚」小人族でロキ・ファミリア団長のフィンは、小人族復興のために自身が英雄となり、同族を娶りたいと考えている。そんなフィンがリリに求婚する話。
 フィンが同族と結婚したいと考えていることが明らかになってから、同族の女性ってリリも該当するし、他の小人族女性でよく出てくるキャラもいないしもしかしたらと思っていたが、やっぱりこうした話がくるか。
 しかしラキアとの戦争、冒頭見たら楽勝かと思っていたが、相手は持久戦でオラリオの戦力をオラリオから離す戦略とっているとは、思いのほかやるな。勝ち目がないのに戦いにくるから、数で無理押しでもするのかと思いきやこうした戦術をとるとはちょっと意外。
 リリらの指摘によって、ステイタスの隠蔽術の存在をようやくヘスティアが知る。というか、シリーズの最初からステイタスが見えていることが指摘されていたが、いまだにステイタスを隠していなかったのか。
 それからベルがスキルとして現れるほど、アイズに憧れているという情報もファミリアのメンバーに共有される。当のベルには知らされないままだけど(笑)。
 フィンというか小人族は、信仰していた神が実在しないと知る(しかも他の神々はいるとわかっているのに自分たちの神だけが!)なんて、改めて考えてみるととてもハードと言うか、とてつもない衝撃だったろうな。そりゃ心の拠り所失って大きく意気消沈するのもわかるわ。
 レベルアップするごとに、神に近い存在になっていくからそれもあって老いにくくなる。
 リリを見初めた理由、単にたまたま見つけた同族だからと言う理由ではなく、例のベルとミノタウロスの戦いのときに、ベルを助けるために怪我を意に介さず救援を呼んだ勇気がフィンの琴線に触れたということらしい。
 「三章 ある鍛冶神への恋歌」ヴェルフ主役で、彼が前に所属していたファミリアの神ヘファイストスの話。ヴェルフは彼女に恋心抱いていたのか、意外。いや、私が覚えていないだけで既出の情報だったりする。
 神の力は地上では使えないから、人間と同じ能力のみで作った剣の素晴らしさに打ち震えた。そして惚れた。ということのようだ。
 人間っぽい神さん多すぎて忘れがちだが、そのように何の能力もなしでベルの剣だったり、そうした多くの鍛冶師が感動するような剣を作れるのは流石神だと改めて思う。
 アレスと王国の目当て(それだけではないにしても大きな目的の一つ)は、魔剣作れるヴェルフか。大物だねえ。彼の父親が王国へ戻るように説得しに来るも当然断る。
 しかし父親、ヴェルフの魔剣作成能力が目的なのに彼相手に剣をふるうとは、煽り耐性ないなあ。
 「四章 愛しのボディガード」エイナが主役。職場からの帰り道に視線を感じてベルにボディガードをしてもらうことになる。
 ベルとエイナの後姿の挿絵が載っているけど、それを見ると二人の身長はほとんど変わらないのか。ちょっと意外。ベルが小さいイメージあって、エイナがベルのお姉さんといった感じだから、エイナが少し大きいのかと思っていた。
 しかし同じくらいの身長と知ると、ベルがそんなに子供ではないことを改めて感じるし、そして二人の関係が進展するのもありえないことではないことを感じさせて(もちろんこのシリーズ的にはくっつく可能性ないだろうなとはわかっていても)、なんだかちょっとドキッとする。
 「五章 街娘の秘密」酒場『豊穣の女主人』に勤めていて、ベルにいつも弁当を作ってくれていたシルのお話。
 地下になぜかいたモンスターとの戦闘で、ベルたちを助けにきたフレイヤ・ファミリアの猫人。また、きなくさいことが起こる前兆かと思ったら、シルがその高レベル冒険者の猫人の娘! そしてシルと同じく豊穣の女主人に勤めている猫人アーニャが妹ってなんか複雑な関係。アーニャはシルが姪ってこと知っているのかな、ちょっと気になる。
 「六章 とある女神の愛歌」ヘスティアの主役回、そしてアイズも登場。
 オラリオの外の隠れ村が出てきたりとそうやって外の世界が描かれるのはいいね。
 黒竜についての反応を見るに、アイズは黒竜に因縁があるのか。