四字熟語・成句辞典

四字熟語・成句辞典 (講談社学術文庫)

四字熟語・成句辞典 (講談社学術文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

見出し項目約四五〇〇、類語・対語等を含め総索引項目約七〇〇〇を誇る本格派辞典が文庫版に。五十音での検索はもちろん、「感情の表現」「謙遜」「リーダーシップ」「人をほめる」「悪く言う」など、時に応じて適切な言葉に出会えるガイドも充実。豊富な用例に加えて、出典となった漢籍の解説も完備。教養を深め、冠婚葬祭やビジネスでも活かせる決定版。

 語彙力がないから、そういうことを簡潔に表現できるそういう熟語・成句があるのだとはじめて知ったものや、言い回しが面白かったり、格好良かったりするものを探す目的もあって読む。だけど、その目的以上に、辞書を読む人もいると知ってそうしたことも面白いのかなと少し興味があったこともあって何かの辞書を一度頭から最後まで読んでみたいなと思っていたことが、この本を読む一番のきっかけかな(笑)。
 読み物じゃないのだから当たり前だけど、(また三段組になっていることもあって)中々読み進まずに何カ月か読了までかかる。そして格好いいとか面白いと思うものがあっても、普段使いに向かない表現が多かったが。まあ、普段の表現変わらなくても面白い表現が知れただけで個人的には満足だけどね。
 それから辞書あまり読まないからもしかしたらあって当り前なのかもしれないけど、出典が書いてあるのもありがたいね。
 冒頭には「感情の表現」だったり「人をほめる」またはその逆といった、ジャンル別の四字熟語・成句の表現がまとまっているのはちょっといいね。
 已己巳己(いこみき) 互いに似ているもの。己、已、巳の字がよく似ていることからいう。
 『轅下之駒(えんかのこま) 意味 車の轅の下にうずくまる仔馬。子馬は車を引く力がないことから、力不足で動きのとれないこと。また、束縛を受けて自由にならないこと。』(P85)
 『火中取栗(かちゅう しゅりつ) 意味 「火中(に)栗を取る」とも読む。(中略)補注 ラ・フォンテーヌの『寓話』「猿と猫」に基づくフランス語の慣用表現の中国語訳。猫がせっかく暖炉の中から取り出した栗を猿に食べられてしまったという話』(P110)大山鳴動して鼠一匹がローマのことわざからだということや一石二鳥が英語からきているというのも知っているけど、これも西洋由来のことわざとは知らなかった。
 『玩人喪人[がんじん そうとく] 意味 「人を玩べば 徳を喪う」とも読む。他人をからかってあなどると、自分の徳を喪うことになる。/ 出典 『書経』旅獒。「人を玩べば徳を喪い、物を玩べば志を喪う」』(P121)
 「小春日和」は春の天気ではなく『陰暦十月ごろの春を思わせるようなうららかな天気』(P199)を表現する言葉。
 『照猫画虎[しょうびょう がこ] (意味)「猫に照らして 虎を画く」とも読む。よく似た卑近なものを手本にしても反しても、物事の真相に迫ることはむずかしいということ。』(P261)
 『石破天驚[せきは てんきょう]  意味 「石破れ 天驚く」とも読む。石が壊れ、天がびっくりするほどに音楽が巧妙なこと。転じて、詩文が人を驚かすほどに奇抜で優れていること。』(P299)字面と音楽系ということを思うと、なんとなく実際の意味とは逆にジャイアン的な音痴のことだとちょっと思ってしまう(笑)。
 『是是非非[ぜぜ ひひ] 「是を是とし 非を非とす」とも読む。正しいこと[是]は正しいと認め、正しくないこと[非]は正しくないと認めること。湿疹を挟まず、客観・公平に判断することを言う。』(P300)以前は、良い意見も悪い意見もあるというような意味があるかと勘違いしていたな。今も文章で読めば流れでわかるが、個人的に見覚えある割にはいまいち意味を忘れやすいというか、その勘違いと間違いやすいからしっかりと覚えなくちゃな(苦笑)。
 「衆人環視」は『多くの人が周囲をとりまいてみること』で、今まで監視だと思っていたけど、環視を「監視」とかくのは誤りとのこと。 
 『扣人心弦[ひとのしんげんを たたく] 意味事物が人の心を感動させること。人の心を楽器の弦にたとえていう。「扣」は、つまびくの意。』(P428)当たり前の表現で今まで考えたことがなかったけど、こういう表現って感動で震えるのと、弦が震えるのをかけているのかということを今更気付く。
 『兵隊勘定 おおぜいで飲食した時、代金を人数で割り、各人が同額を払うこと。割勘。もと、兵士が飲食の代金を頭割りにして払ったことから。』(P456)いわゆる割り勘のことをそうとも表現するのね。
 『壊玉其罪 意味 罪のない善良な人でも、身分不相応な財宝を持つと、禍を招くことになる。凡人は、持ちつけない金や地位をもつと、予期せぬ事態にまきこまれて身の破滅を招きかねない、という意。』(P458)
 『所向敵無[むかうところ てきなし](中略)出典 三国時代・蜀・諸葛亮「心書」』(P480)出典孔明だったのか。
 『矮子看戯[わいしかんぎ] 意味 劇場で背の低いものが背の高い者の後ろにいて芝居を見ること。よく見えないことから転じて、先人の批評を聞き、それに無批判に同調して本人の見識のない意。/ 出典『朱子語類』』(P541)意味よりも、映画館で前に背が高い人云々みたいなネタはその当時でもあるあるだったことに少し笑った。