ソードアート・オンライン プログレッシブ 4

内容(「BOOK」データベースより)

デスゲーム“ソードアート・オンライン”に閉じ込められて二ヶ月弱。攻略の最前線であるキリトとアスナは第五層へと到達していた。迷路のような街並みと極端に森や川などの自然が少ないこの“遺跡”エリアで、二人はゲームの醍醐味でもある“遺物拾い”をこなし、アイテムやコル(お金)を稼いでいく。そしてキリトは街の地下墓地で発生する小規模な“クエスト”を提案する。アスナも賛同するが、それが彼女の不幸の始まりだった。そのクエストには、彼女がもっとも苦手とするモンスターが登場するからだ。そう、墓地といえば―。果たして、アスナは恐怖心を克服し、第五層を攻略できるのか…?

 プログレッシブは結構久しぶりと思ったら1年ぶりの新刊みたい。そして相変わらずの1巻に一層ペース。
 今巻で攻略組を混乱させようとするプレイヤーグループの影が濃くなる。あとがきみると、彼らはラフィン・コフィンで確定のようだね。まあ、その前身とかかもしれないが、そうしたPKギルド、人々を混乱させたり破滅させたりを喜ぶ人たちのグループが他に色々あるとかでなくてよかったわ。しかしこんな低階層でもかなり暗躍していたようだから、随分と長い間彼らは攻略の妨げになっていたようだね。
 今巻、序盤は5層ならではの小イベントなどをこなすキリトとアスナ、そして二人の日常的なシーンが書かれる。中盤では暗躍する悪意を持つ謎の小集団の陰謀を二人が知り、その思惑を打ち砕くための仲間を集める。終盤では有志のメンバーによる5層攻略、ボス戦とその後の挿話があって終わる。
 冒頭でキリトとアスナは『果物のフレーバーがするルイボス茶、といった印象』(P19)のお茶を飲んでいるが、10月に発売した「アクセルワールド 19」でもルイボス茶が登場したので、作者さん最近ルイボス茶にはまっているのかな(笑)。
 均衡保つ二大ギルド、それなりに競争相手として安定した関係性となってきていたALSとDKBだったが、5層のボスがドロップするアイテムを知らされたALSは、一つのギルドに強い恩恵を与えるそのアイテムをライバルのDKBに渡して力関係が彼ら有利とするわけにはいかないと、抜け駆けしてそのアイテムを取ろうとする。
 キリトとアスナはそのことをALSに知らせて両攻略グループを分断させようとした者たちの存在を知って、また現在の両ギルドの関係を崩して、両者を完全に決裂させることは攻略・解放に不利益だということで、そうした二人の考えに賛同する有志をひそかに集めて5層を攻略して、どちらにもそのアイテムを渡さないように死蔵して、両者の均衡を保とうとする。
 そういうことで今までに登場してきた人々と共に5層のボス戦に挑むことになる。こうした今までに出てきたキャラとの共闘だったり、即席パーティーが戦いの中で中を深めていくという展開はいいね。あと、情報屋アルゴの戦闘シーンが見ることができたのも珍しくてよかったわ。彼女、結構腕が立つのね。
 戦闘終了後にキリトらは今回の策でのミスに気づいたが、その失敗が後に響いたり、後味の悪いことにならなくてよかったわ。
 キリトに出し抜かれたALSのリーダーのキバオウは変な扇動者(ギルドに紛れ込んでいる例のグループの仲間)の言葉に惑わされず、キリトに悪態もつかず、その扇動者を起こっているし悪い奴でないのよね。今回だって相手にそのアイテムを渡すことで相手のギルド一強になることを防ぎたかったということが第一の目的だったことが、キリトがそのアイテムを当座死蔵するという案に乗っていることからもわかるからね。
 まあ、ALSとDKBとの仲たがいを偶然のドロップがどっちによるかでなく背信による抜け駆け攻略で決定的なものにしようとした、妨害集団は策を弄したせいで、キリトにそのアイテムを思い出させて失敗に終わるという結果となった。なにもしなかったら、自然にこう略語に自然と両ギルドはギスギスしたくらいにはなっただろうからな。