デュラララ SH 4

内容(「BOOK」データベースより)

「あんたが園原杏里か?『罪歌』を売ってほしい。なんなら、俺を斬って『子』にするだけでも構わない」ダラーズ終焉から一年半。池袋の片隅に佇む古物商『園原堂』では、店主となった杏里の元に新しい来良学園三人組がたむろしていた。そんな所へ『罪歌』を求めて接触してきたとある人物。その直後、園原堂に不審人物が押し入り、店内が荒らされた。一方、妙な仕事を依頼され、運び屋を再開したセルティの元にも杏里の情報が入る。心配し、園原堂を訪れたセルティの前に現れたのは、赤林をはじめとした罪歌に絡む面々で…。果たして罪歌を巡る騒動の裏に潜む謎とは―!?さあ、みんな一緒に、デュラララ!!SH。

 今回はセルティが請けた依頼のお話がメインで、SH以前のおなじみのキャラの登場が多く、SHで登場してきた八尋たち高校生三人組の出番は少ないので、あとがきにも書いてあるがSH以前の無印の「デュラララ」のような巻だった。
 こうした高校生組の出番が少ない回を読むと、一応セルティが主人公なのだなと言うことを再確認するよ。
 高校卒業後、両親がやっていた古物商を再開した杏里が登場。古物商をはじめて以後の彼女はちらりと登場したことはあったが、本格的に登場したのはたぶん今回が初めてだと思うのでそれが嬉しい。時の流れと彼女の成長を感じさせてくれる。
 赤林はセルティが力を全開で使えば粟楠会を簡単に潰せるという認識をしているのか。なんか気安く使っている印象があったから、もっと軽く見ているのかと思っていたが、そういう認識あったのね。
 そして今回の依頼者の夏瓦家は以前にもセルティに依頼をしてきたことがあるようだが、無印・SHではたぶん登場していないと思うので、なんかの特典かコミックスとかゲームとかのオリジナルシナリオにでてきたとかなのかな。それとも単純に今回がはじめてだけど、そういう設定があるというだけなのかな。
 SHのラスボス風なキャラである四十万がかつてやっていた組織ヘヴンスレイヴの後継組織が麻薬を売っていて、それで別に現在は関わっていないのに彼が組織のトップと見なされて捜索される。
 今回はセルティと四十万がメインの物語と言った感じだ。そして四十万に付き添っているジャミの紹介回。四十万は無印時代には局外にいた人物で、彼は池袋という街に自分という存在を思い知らせるために色々やるつもりの人のようだが、彼が麻薬組織のトップという誤解をそうだと肯定することで、ようやくセルティという池袋の中心にいる存在に目を向けさせた。
 そうして、自分にかかっている嫌疑を利用して四十万は一芝居打ってセルティを舞台の中心に据えて、他の関係者なども呼び寄せて大立ち回りを演出して、事件を一辺に片を付けた。最後のアクションシーンもよかった。
 読んでいる最中は全体図が見えなくて、厄介な事態という印象を与えるが、一つのどんぱちで全部を終わらせて、最後に種明かし的に物語を読んでいる最中には気づかなかったことが書かれてスッキリさせる。新旧さまざまなキャラを登場させつつ、作者さんお得意の混乱した・させた状況を見事に収束させて綺麗に終わる物語で、1巻完結のエピソードとしてまとまっていて面白かった。