ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン  5 サード・スクワッド・ジャム ビトレイヤーズ・チョイス (下)

内容(「BOOK」データベースより)

“さあ、存分に殺し合え。かつての仲間は、今は敵だ”生き残りチームから各一名が選抜され、ビトレイヤー(裏切り者)チームを結成する「特別ルール」が発動した第三回スクワッド・ジャム。優勝候補筆頭と目されていた“LPFM”からは、レンが最も戦いたくないプレイヤー、ピトフーイが選ばれてしまう…。激震が走る参加者たちをよそに、刻一刻と海へ沈むフィールド。その中央、濃い霧に隠されていた“UNKNOWN”エリアに鎮座していたのは、一隻の巨大豪華客船だった―。裏切りの銃弾が飛び交う、壮絶なバトルの結末とは!?


 前回各チーム一人が裏切り者に選出されて、選出された人たちでチームを組んで最後の戦いとなることが明かされて、裏切り物が選ばれたところで終わった。今回は冒頭で主人公チーム以外で生き残ったチームが今回の大会をこれまでどう生き残ったかが書かれる。
 強豪チームを共同して打ち倒そうとした意図を察したSHINCは、奪った信号弾を利用して敵チームをおびき寄せて撃滅する。そうした相手の作戦への対応策をぱっと考えられるのは見事。
 突如発表された裏切り者という特別ルールに怒り心頭の各チームのメンバー。読者としてはレンとピトフーイが別チームになったことでどこが勝つか分からなくなったのは良かったけど、参加者としては事前に説明されていない、チームを強制的に分断するルールには納得できないよね。
 事前説明あったりとかエキシビションでやるとか、すでに敗退したチームの中で今大会活躍していた選手を復活させて一つのチームにして最終決戦の場に立たせるとかならそんなに文句もなかっただろうに。
 ボスがいっていたゲームでありルールだから不服ながら従うしあからさまなズルはしたくない。それにもしズルをすれば観客全員にそれを知られてずっと語られることになるだろうといった言葉を見て、観客という要素で手を抜いたり、現在の自分のチームの利益になる行動だけとるなどの行為を抑制しているのかと気付く。
 急速に水没しつつある島の中央に鎮座している廃墟となった豪華客船。最終決戦はその船のなかで行われる。
 他チームが乗り込む前に裏切り者チームが最終決戦の戦場となる船上に到着している。そのため島が沈没する前に船に乗るためここに向かってくる他チームに攻撃することができる機会を与えられている。ピトフーイは光剣で救命ボートを下に落とすことで、入れる場所を限定して、さらに他チームへの攻撃を効果的なものにする。ここでの裏切り者チームと侵入しようとする他チームの攻防はいいね。裏切り者チームのメンバーそれぞれの活躍が書かれていることや、他のチームが船に入るために船上の敵相手にどういう対処ををしていたかが書かれていていいね。
 例えば裏切り者チームのT―S(前回漁夫の利で優勝をかっさらったチーム)のエルビンはその全身プロテクターで、遠い距離からのエムの銃撃にほとんどダメージを受けずにその場にとどまり主人公チームを攻撃しているとか、今まで見せ場がなかったキャラクターがいい仕事をしているのが見られるのがいい。
 船のAIに命令して船を沈ませる。ピトフーイの即興での作戦だが、徐々に沈んでいく船での最終決戦という構図は絵になっていいね。
 エムとターニャの泥臭い死闘に勝利したエム。そんな彼にフカ次郎がもっと効率的な方法があったのに何故しなかったのかという指摘をする。その言葉によって死闘とエムのファインプレーに思えた行動がちょっとギャグになってクスリと笑える。
 T―Sがまた生存して最終的に優勝するチームになるのではないかという嫌な想像があったので、そうならなかったことにホッとした。
 そして相変わらずピトフーイは場を混乱させて、その結果としてレンとピトフーイのタイマンでの最終決戦となる。しかしピトフーイが体調悪いという描写があっても振る舞いが悪役だから、ピトフーイ頑張れではなく、他の人たち頑張れ、奴を倒せとなるな(笑)。
 そして二人の対決は相変わらず血みどろな肉弾戦での決着となる。この泥臭さというか、銃のゲームなのに血みどろな近接戦闘をしているところがいいよね。
 今回の大会は盛り上がるレンVSピトフーイという状況をつくるのに裏切り者ルールという無茶をしたが彼女らの最終対決も熱いもので、決着のつけ方も面白いものだったので満足。