ドウルマスターズ 4

内容(「BOOK」データベースより)

ティモール海で“ソフィア”軍と交戦した龍一は、かつての上官マユリ=カーティスを墜とし、ゲノムスに勝利をもたらした。敵機の正体に気づかぬ蒼生と、自身の戦果による真実を自覚した龍一。二人の間に、二度と引き返せない、大きな隔たりが出来た瞬間だった。最新鋭ドウル、蒼穹色の『マクリール』を完璧に使いこなす龍一の実力は、ついにソフィア最強のエクサー集団の一人、アニル=ダ・コスタが駆る『ヴァルナ』を呼び寄せる。両ドウル共に、得意とする戦場は海中。ノルウェー海、水深約千メートルで、二体の巨大人型兵器は激突する―!そして舞台は宇宙へと移る。蒼生のインドラと朱理のアイアンメイデンに突如襲い掛かってきたゲノムス軍を排除すべく、戦場へ向かう玲音のミスティムーンだが、そこに意外なドウルが彼女の前に立ちふさがり…!

 ネタバレあり。
 前半は龍一がメインで、ゲノムス側の描写が多め。そして今回、太陽系連盟とゲノムスは裏で(あるいは上で)つながりがあるらしいことが書かれる。その後は早乙女姉弟とゲノムスとの突発的に起こった戦闘、そして玲音とらシードのエクサ―対決。そして最後は再びゲノムス側の様子が書かれる。
 冒頭、ゲノムスのドウル技術者オブライエンがソフィアのエース級ドウルマスターと密会しているところが目撃される。それに加えて、ゲノムスの空宙母艦が見つかった時に、そこから離れた危険度の低い地域にグリンブルとルドラというドウルを操るエクサーは留まれという指示が出される。そのことで現場では、ソフィアはゲノムスとの癒着、共謀関係があるのではないかという抱いてはならない疑いを抱いてしまう。
 太陽系連盟と、その支配に反対する組織ゲノムスという二大組織だが、両者の存在は案外近いというか、一方の組織の重要人物でも他方の組織に通じている人間がいることが示される。少なくとも実際に現場で戦闘を行っている人間は本気で相手を敵視しているようだが、上の方はなんかきな臭さを感じる。
 ゲノムスの空中母艦が見つかり、捜索される。そこから水中戦闘に特化したドウルであるマクリールを操作する龍一は、ソフィアの同じく水中戦闘に特化した機体ヴァルナと戦闘を行い、撃破する。
 それまで太陽系連盟の十人のエクサ―は圧倒的な力を誇る存在だったからこそ、衝撃的ニュースだったようで、その報はあっというまに世界に広がった。
 そして龍一がこの活躍でゲノムスの仲間たちから認められ、さらにヒーローになる。だが、優遇されている余所者あるいは新参者という扱いからの、この態度の変化に逆に失敗したらどうなるかという怖い想像をして、重圧を感じる。
 しかし敵のエクサ―であるダ・コスタを捕虜にもせずに見逃したのは、そのエクサ―こそ最大の脅威なのだから、勝利して反響も大きなものとはいえ、そんなに大きな戦果はあげられなかったな。戦力格差が大きいから、一人脱落させるくらいの勝利をさせてもよいのにちょっと思う。まあ、戦死させたり捕虜にすると逆にただでさえ戦力差の大きい太陽系連盟が死に物狂いで潰しにかかるかもしれないから、逆によかったということなのかもしれないが。
 見つからない空宙母艦の話を聞いて思いついたアイディアを蒼生が実行したら、運良くあるいは運悪く、その空宙母艦を発見してしまい戦闘になる。
 苦戦する早乙女姉弟。助けに向かう玲音だが、同じ連盟のエクサ―のラシードに足止めされる。ラシードは故郷が見せしめ的に資源を採掘しないように連盟に規制されていることを知った。資源がないから故郷の人々が苦しんでいるのを知っているので、発展しないように規制する太陽系連盟への忠誠を失い、反逆を決意した。
 それで玲音の到着は遅れ、数の不利がある早乙女姉弟らは撤退しようとする。その行動を読まれ撤退途中に攻撃を受ける。それでインドラに乗った蒼生は宇宙から地球へと落ちていく。落下を無事に済ませるために、蒼生はインドラにSIMAを強制的に使わされながらの地球への降下していった。それで意識を失った蒼生とインドラはゲノムスに回収される。
 まだゲノムスにとらわれたと知らない蒼生。龍一はまだ直接顔を合わせていないが、思わぬ展開で蒼生と再び同じ船に乗ることになる。そんなところで今回はおしまい。
 次回以後に玲音が囚われた姫君である彼を救出することになるのか、それともゲノムスになびいて、そっちに加入となるのか、蒼生が今後どうなるのか楽しみ。
 あとがきがまさかのキャラクター同士のメタな掛け合い。