少年探偵団

 kindleで読了。ネタバレあり。
 冒頭で真っ黒な影のような、黒い魔物というホラーや都市伝説的なものの噂について語られる。
 そうした事件を聞いたとある富豪篠崎氏が、以前中国で購入したいわくのある宝石を狙ったものではないかと思い至る。それでインドの仏教徒の部族で、彼らの秘仏にはめこまれていた宝石を取り戻しにきて、黒い影はインド人だというのは現在の視点だとちょっと突っ込みたくなるところがあるな。
 それで明智探偵に依頼して助けてもらおうとするも、あいにく旅行中で不在。そして小林少年案で変装して、親類のもとへ子供(緑ちゃん)を預けることになる。
 そうして緑ちゃんと付き添いの小林少年は車で親類の家まで車で行くはずだったが、車の運転手が例の謎の存在に代わっていて、そのまま誘拐されて、彼らの味とに連れ込まれることになる。
 しかしその誘拐犯の目を盗んで彼は少年探偵団のバッチをある程度間隔を置いて道に残すように細工をして目印とした。小林少年と緑ちゃんが誘拐されたことを知った少年探偵団は独自に捜査を開始して、その目印を見つけてそれを追うことでアジトを発見する。そのおかげもあってか二人は無事救出されるが、見張っていたはずなのに例の犯人は煙のように消えていて、その家の持ち主である春木氏とコックがいるだけだった。
 そのことがあった翌々日に明知探偵が帰ってきて、小林少年から話を聞く。そして話を聞いた明知探偵は犯人の神出鬼没さの謎が、隠れた道を使っているのだと感づいた。またインド人の姿をしているのは犯人の扮装であることに気づく。しかし小林少年の春木氏に対して『しんから日本人の皮膚の色でした。おしろいやなんかで、あんなふうになるものじゃありません。長いあいだいっしょの部屋にいたんですから、ぼく、それは断言してもいいんです。』という証言をしているが、逆は見抜けなかったのは、そうした肌の黒い人を見慣れていないから色が自然かもわからないからということなのかな。
 そして実際に乗り込む直前まで犯人の一人を篠崎家お抱えの運転手本人だと思っていた。それもあって怪人二十面相が犯人だと気づいて、春木氏を名乗った怪人二十面相にそのことを話す。そして前回捕まえた二十面相が実は偽者だったことが明かされる。しかし明智探偵が前回気づかなかったというよりも続いたから、あるいは思ったより人気でたから、偽者ということにしたという感じがあるなあ。
 そして二人が話している間に警察に周囲を固めさせていて、二十面相も危機一髪という状況だったが黒い危急の目くらましで注意を向けさせた後に隠れて逃げおおせる。
 そして明智に見破られた二十面相は、その名前での活動を再開することになる。
 純金で作った浅草五重塔をレーダーを張り巡らせて、触れると拳銃が発射されるという過剰な防犯体制を引いていた大島氏。二十面相は物自体がほしいのではなく、その防備装置を潜り抜けて盗み出すことに挑戦心をかきたてられて、盗みの予告をする。
 抜け穴を掘るという大掛かりな作戦で盗み出したが、事前にお手伝いの少女に扮した小林少年がちょっとした騒ぎを起こした隙に本物と偽者を入れ替えておいたことで被害はなくてすむ。しかし怪盗は抜け穴の反対側から調べに来た警官に扮装することで、出口で待ち構えていた警官たちをごまかし逃げおおせた。
 しかし黄金塔(偽)を運びだした者を追跡して、アジトを割り出していた。そのため怪人二十面相は少年探偵団と明智探偵と味とで対面することになる。
 しかし追い詰められた二十面相は『二十面相は紳士泥棒か。二十面相は血がきらいか。ありがたい信用をはくしたもんだな。しかしね、探偵さん、その信用もばあいによりけりだぜ』といって溜め込んでいた火薬に火をつけることで巻き添えにすることをにおわせて、明智探偵や警官を退避させる。そうして逃げた後に爆発が起こったが創造よりも爆発が小さかった。まあ、それからもわかるようにブラフで引かせて、見事に逃げおおせたという感じで終わる。
 今回最後に明智探偵に一杯食わせたが、盗み自体は一回も成功していないし、敵役である怪盗二十面相の凄さがいまいち伝わらないなあ。彼のやり口も前回もそうだが、どうも大味だしね。まあ、児童文学としてかかれたものだから、大仕掛けのほうが凄さが伝わるからそうしたものにしているというのもあるだろうから仕方ないことだけどね。