プロ野球・二軍の謎


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 二軍監督は中間管理職のような存在。監督と言っても上には一軍があって、下には二軍のコーチや選手たちがいて、その間の調整役。
 一軍の試合が最優先なので必要な選手が急に一軍に行きが決まったり、試合勘を取り戻させるために一軍から二軍に送られた選手を起用しなければならないなど二軍のチーム事情は一軍の状況次第で変わる。
 第一章のはじめの一軍監督はレストランの店主で二軍監督は直営農場を管理している責任者、良い作物を作って、上に供給できるように準備しておくのが仕事という例えは面白い。
 二軍のオールスターであるフレッシュオールスターは、イースタンは1チーム3選手、ウェスタンは前年優勝チームが5選手、それ以外は4選手とチームごとに出す選手の数が決まっている。そして過去に二度出場した選手は出れない。そうした決まりがあることを知らなかった。
 球団社長は球団経営のトップ。球団本部長はアメリカでいえばGM。球団本部長のもとには編成部の情報も一軍・二軍の情報も集まり、全体を見渡す役割がある。そしてFAやドラフトでの選手獲得も本部長を中心とした話し合いが行われる。
 アメリカのマイナーリーグ。『2Aから下のクラスは十分に食べられるほどの給料をもらえているわけではありませんから、栄養以前に、お腹を満たすことを優先に、ファーストフード店に駆け込むのです。』(N716)このような記述を見るに3Aと2A以下でも少し違うようだ。
 メジャーのベンチ入り25人枠は契約でほとんど決まっているので、『キャンプ時の競争によって決まる席は1つか2つというのが現実です。』(N947)想像以上の狭き門。キャンプ時の選手のロッカー配置での期待度、カージナルスの場合入り口から向かって右側から奥はやがていなくなると想定される選手に割り当て、カブスの場合は25人枠に入る選手とそうでない選手のロッカーが交互になっていた。
 9月1日でメジャーリーグのベンチ枠が40人に広がるが、限度までメジャーに上げるチームはほとんどなく、『各チームともだいたい5、6人ずつ増やして30人あまりがベンチ入りするようになります。』(N1047)
 二軍の試合数、『2016年度で言えば、オリックス二軍チームは公式戦で116試合(本来は131試合を予定していたが、15試合が雨天などで中止)を行いました、その他に交流戦・練習試合で16試合、春季教育リーグで6試合、みやざきフェニックス・リーグで12試合あり、これらを足すと150試合になりますが、シーズン中の公式試合だけで140試合前後を行うアメリカのマイナーリーグに比べると、その差は歴然としています。』(N1023)田口二軍監督はこの試合数でもまだ満足していないようだが、個人的には思っていたよりも二軍の試合数が多かった。公式戦が年間90試合くらいの時代に二軍の試合数を知って少ないと思った記憶があるから、現在の試合数を見ると意外と多いと感じる。
 「5章 二軍監督という仕事」では、世代間ギャップや指導法などについて書かれる。