亜愛一郎の狼狽

亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)

亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)

amazonから引用

出版社/著者からの内容紹介
雲や虫など奇妙な写真を専門に撮影する青年カメラマン亜愛一郎は、長身で端麗な顔立ちにもかかわらず、運動神経はまるでなく、グズでドジなブラウン神父型のキャラクターである。ところがいったん事件に遭遇すると、独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する。作家・泡坂妻夫のデビュー作「DL2号機事件」など全8話を収録した。



内容(「BOOK」データベースより)
『11枚のとらんぷ』を筆頭に、『乱れからくり』等数々の名作でわが国推理文壇に不動の地位を築いた泡坂妻夫が、この一作をもってデビューを飾った記念すべき作品―それが本書冒頭に収めた「DL2号機事件」である。ユニークなキャラクターの探偵、亜愛一郎とともにその飄々とした姿を現わした著者の、会心の笑みが聞こえてきそうな、秀作揃いの作品集。亜愛一郎三部作の開幕。

短編集。泡坂さんの小説を読むのはこれが始めて。
一話ごとに語り手が変わっていて、全話にわたって登場するのは、亜愛一郎と三角形の顔をした小柄の老人という人だけ。
特に気に入った短編は、第六話 掘り出された童話と第八話の黒い霧。
掘り出された童話は、語り手の童画家の一荷聡志と亜愛一郎の掛け合いが面白くて、最後のホラーのような落ちもよかった。
黒い霧はカーボンが撒き散らされて、だめになった商品(豆腐やケーキ)を投げ合うところで笑えた。

「男の裸は、なぜいけねえんだ」(335p)