自壊する帝国

自壊する帝国 (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)

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ソ連邦末期、世界最大の版図を誇った巨大帝国は、空虚な迷宮と化していた。そしてゴルバチョフの「改革」は急速に国家を「自壊」へと導いていた。ソ連邦消滅という歴史のおおきな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか。大宅賞新潮ドキュメント賞受賞の衝撃作に、一転大復活を遂げつつある新ロシアの真意と野望を炙り出す大部の新論考を加えた決定版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐藤 優
1960(昭和35)年生れ。’85年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、’95(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。’05年2月執行猶予付き有罪判決を受け、現在上告中。主な著書に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(毎日出版文化賞特別賞)、『自壊する帝国』(新朝ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

僕は、著者が有名になるとどうもあまり読む気がなくなってしまうのだけれど(特に現代の作者については、それは顕著だ)、佐藤さんの本には少し、興味があった。
そして実際に読んでみたら、期待以上に面白かった。
佐藤さんの本をもう少し読みたくなったので、早速国家の罠を購入。

ソ連にもよい人間もいれば、悪い人間もいる。その比率はチェコスロバキアでもイギリスでもアメリカでも一緒だ。ただし、ソ連チェコスロバキアでは、国家の方針により、よい人間も悪い人間にならざるを得ない状況がある。モスクワに行ってからもよいロシア人と付き合うことだ」
「どうやったらよいロシア人を見分けることができますか」
「それは、よい日本人やイギリス人、チェコ人を見分けるのと同じだ。(後略)」(48p)

『若い頃の苦労は買ってでもしろ。将来の肥やしになる』というけれど、これは一言抜けている。自分の肥やしではなく、他人の肥やしになるんだ(154p)

あいつらはうそは言わない。ただし、二%しかない要因を誇張し、あたかもそれが真相の九割くらいと相手に信じ込ませる。典型的な手段だよ(245p)

ただ、ここのところでマサルといくら議論しても収斂しないし、お互いに考えを変えることもないと思うので、この話は意見が違うことを確認して、話を先に進めないか(545~546p)