チェーホフ・ユモレスカ―傑作短編集〈2〉

チェーホフ・ユモレスカ―傑作短編集〈2〉 (新潮文庫)

チェーホフ・ユモレスカ―傑作短編集〈2〉 (新潮文庫)

かくも人間は滑稽で、いとおしい……。クールな眼差しで人生の一瞬を描く。

恋する純情男や妄想系の女、皮肉な銀婚式、正直すぎるプロポーズ……。退屈きわまる日々に不意にのぞく、人生の奥深さと苦いユーモア。「飛ぶ島」「別荘住まいの女」「夫婦喧嘩」「理想の試験」など、星新一宇宙旅行から、ロシア的情熱と絶望が交錯する悲喜劇まで、チェーホフの眼力が冴えるショートショート49篇。本邦初訳9篇。

*印は本邦初訳


婚礼の前
二兎を追う者は一兎をも得ず
車内風景
あれやこれや *
「あいびきはしたけれど……」
田舎医者
逃した魚は大きい
飛ぶ島
狩猟解禁日
二つのスキャンダル
牧歌――「ああ」と「おお」!
雄々しい奥さん
わたしがどういうふうにして正式な結婚をしたか
おじいさんそっくり
山羊またはろくでなし
わかってくれた!
悲劇俳優
庇護
証明書
馬鹿女または退役大尉
マヨネーズあえ
新しい病気と古い薬 *
時代の象徴
駅長
中傷
旧年、一八八三年の遺言状 *
喜劇俳優
狩場で
無邪気な森の精
聖歌隊
長い思索の結果 *
魂についてのいくつかの思い
しゃべるべきか黙るべきか
うぬぼれ
別荘住まいの女
夫婦喧嘩
ロシアの石炭
別荘地の掟 *
取材記者への手紙 *
人心の動揺
別荘地の楽しみ
理想の試験 *
定期市の「決算」 *
燃えひろがる炎
看板 *
絶望した男
劇作家
酷寒
川のほとり
  訳者解題 チェーホフの眼力

1篇の長さが長くて20ページくらいで大体10ページ以内で終わるのがほとんどなので、読みやすかった。
好きな短編は、
村の名医たち
きちんとした診断をせずに、あまり役に立ちそうもない薬を出す医者の話
飛ぶ鳥
A・チェホンテー名義で、ヴェルヌの小説を翻訳をしたという形式のパロディ作品

(この後に長たらしい天文台の描写が続いているが、訳者は紙面と時間の節約のため省略した)

とか、長い描写を揶揄したような文章が面白かった。
わたしがどういうふうにして正式な結婚をしたか
親が結婚をさせようとするが、お互いにほかに好きな人がいて、結婚をしないために二人は結束をするが、結局結婚をさせられてしまう話。
夫婦喧嘩
表題のままに夫婦喧嘩の話。最後の落ちが面白かった。
愚かなフランス人
ロシア人の大食ぶりに驚くフランス人の話