南の島のティオ

南の島のティオ (文春文庫)

南の島のティオ (文春文庫)

出版社/著者からの内容紹介
小さな南の島に住むティオと出会った人々を中心に、つつましくも精神的には豊かな島の暮らしをさわやかに描く小学館文学賞受賞作


内容(「BOOK」データベースより)
受け取る人が必ず訪ねてくるという不思議な絵ハガキを作る「絵ハガキ屋さん」、花火で「空いっぱいの大きな絵」を描いた黒い鞄の男などの個性的な人々とティオとの出会いを通して、つつましさのなかに精神的な豊かさに溢れた島の暮らしを爽やかに、かつ鮮やかに描き出す連作短篇集。第41回小学館文学賞受賞。

旧日本領の太平洋諸国の中の島での話。
解説によると舞台は、ミクロネシアのポナペ島。
主人公のティオの家は、父親がホテルを経営している。
ファンタジーが混じっていることと、舞台が、マシアス・ギリの失脚と似ているように感じる。
ファンタジーだと思うけど、マシアス・ギリの失脚を読んでいると、マジックリアリズムだと思うのに、この作品だとファンタジーという分類だと思うのは何でなのだろう。

以下短編ごとの内容(少しネタバレがあります)

絵はがき屋さん
絵葉書を送ると、受け取った人は、必ず受け取った景色を見たくなる。という絵はがきのセールスマン、ピップさんの話。

草色の空への水路
モーターボートの船底が浅いところにぶつかる事故が多いので標識を作ったときに、何の挨拶にも来なかったことに腹を立てた、サラティムカ神が水路の開通式でいたずらをする。

空いっぱいの大きな絵
空に絵を描くことのできる花火の話。

十字路に埋めた宝物
島にはじめてできた舗装道路に、穴を開けて、昔地面に埋めた宝物を掘り出したバムさんの話。

昔、天を支えていた木
数年前、流木探しに来た日本人のアサコさんとそのとき見つけた大きな流木の話。

地球に引っ張られた男
大きな島にスーパーマーケットを経営している、ヘルナンデスさんが飛行機で自分の島に帰る前に、カマイ婆に「おまえ、落ちるぞ」といわれて…。

帰りたくなかった二人
山に登ろうと思ってきたが山には道がないと知ったあと島が気に入って、島で1週間の滞在のつもりで持ってきたお金でなるべく長期滞在しようとする、トモコさんとトムさんの話

ホセさんの尋ね人
四十年以上前の恋人の、この島で会ったマリアを探しにきた。
ホセさんの話。

星が透けて見える大きな体
アコちゃんの病気を治してもらうために、天の者相手に、ティオと従姉のケシウスが話をする

エミリオの出発
大きな台風があってこの島に逃げてきた、ククルイリックからきたエミリオが自分で、カヌーを作って、自分ひとりで作ったカヌーに乗ってククルイリックに帰ろうとする話。