きつねのはなし

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)

新潮社のサイト上の大森 望の書評

「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は? 底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。

背表紙の色が、太陽の塔では白だったのに、この本では緑となっていて、新潮文庫は同じ作家は背表紙が基本的に同じなのが多いからそれが珍しいと思った。

私が読んだことのある森見さんの本は、コメディ要素が多かったので、それを期待して買ったのだけど、この作品はコメディ要素があまりないので少し予想と違った。

胴の長いケモノやその剥製、芳蓮堂や狐面の男、琵琶湖疏水などのキーワードは、短編ごとにつながっているけどキーワードの説明がないので、連作短編集なのかそうじゃないのかよくわからない。
ホラーのような短編が多い。
好きな短編は、『果実の中の龍』と『魔』