ぐるりのこと

ぐるりのこと (新潮文庫)

ぐるりのこと (新潮文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、「生き延びる」ということを考える。沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に思いが広がる。英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら思うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去来する強い感情。「物語を語りたい」―創作へと向う思いを綴るエッセイ。

人はいつでも、「個人の生」と並行して、「時代の生」をも生きなくてはなりません。旅子さん、あなたもそうだったのでしょう?権力闘争に明け暮れた古代を生きたい人はその古代の、暗黒の中世を生きた人にはその中世の、二十一世紀を生きる私たちには二十一世紀の。

母性も父性も、また女性性も男性性も、その最も高いレベルでは、その顕れにほとんど差がないようにわたしには思える。たとえば、深い母性愛も深い父性愛も、受ける印象は全く同じになる、と

梨木香歩さんのエッセイ集。前のエッセイ集の『春になったら苺を摘みに』は、梨木さんの英国への留学時代の出来事についてのエッセイだったけど、
ぐるりのことはまあ表題どおりに周りのことに対しての梨木さんの考え方や捉え方のようなものがわかって、その考え方が興味深く魅力的。