戦争の法

戦争の法 (文春文庫)

戦争の法 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
1975年、日本海側のN***県が突如分離独立を宣言し、街は独立を支持するソ連軍の兵で溢れた。父は紡績工場と家族を捨てて出奔し武器と麻薬の密売を始め、母は売春宿の女将となり、主人公の「私」は親友の千秋と共に山に入って少年ゲリラとなる…。無法状態の地方都市を舞台に人々の狂騒を描いた傑作長篇。

佐藤亜紀さんの小説を読むのはこれが二冊目。
買ってきてから一月以上たってようやく読了。
最初から、フィクションであることを謳った回想記体の小説。
I 地方風俗の研究 は、戦争前の背景の説明と戦争(占領)状態での街での出来事だけど、あまりこの章は個人的にはあまり物語に入り込むことができなかったので、若干退屈に感じた。
II 野党の群れ ゲリラに入ってからの奮戦。本策の登場人物の中では、伍長が一番好きかも、語り手の描写の仕方のおかげというのもあるかもしれないけど。千秋の活躍、主人公の友達というキャラなのに、最後になるまであまり性格がつかめなかった。この章から、面白くなってきて結局、読むペースが上がった。
III この世の栄光の終わり 対義勇軍の攻城戦。そして、戦争後の出来事。主人公が海外で生活していたときの描写は、前に読んだ、外人術と同じような雰囲気。
戦闘描写がとても好き、回想録とかあんまり読まないので、そういうのを読んでいたら、解説で書いてあったような、その紋切型の踏襲がもっと楽しめたかもしれない