オルメードの騎士

オルメードの騎士 (岩波文庫)

オルメードの騎士 (岩波文庫)

セルバンテスとともに黄金世紀スペインの頂点に燦然と輝く不世出の劇作家ロペ・デ・ベガ(1562−1635).新しい演劇「コメディア」を創出した「才知の不死鳥」は,生涯に2200編の作品を残した.本作は中でも屈指の名作.オルメードの騎士ドン・アロンソとドニャ・イネースとの悲恋の物語は,不気味で妖しい美しさをたたえる

生涯で1800編のコメディアと400編の聖体劇を書き、セルバンテスに「自然の怪物」と呼ばれた作者の作品。戯曲を読んだのは久々。訳注が多く、訳注だけで40ページもある。解説も面白かった。
解説の最後に、訳者が『オルメードの騎士』のリズム感を日本語に移すことはできないものかと悩んでいたというエピソードを読んで、読みやすさと、久しぶりに物語を集中して追うことができたのは、そのリズム感のおかげかなと思った。
ドン・アロンソの従僕テーリョの忠臣さが好き。
解説にも『あらすじはきわめて単純で』と書かれてあり、『黄金世紀演劇の最高傑作ということを否定するものはなく、奇妙な魅力をたたえた作品ということでは一致している。しかし、その魅力がなにに帰せられるべきなのかをめぐって、常に論争の暇なく』と書かれているように、面白いのだけど、どこが特にどこがどう面白いかというとどう言えばいいのか中々難しいような作品。まあ、普通の作品でも僕にはどこがどうだから面白いとはあまり考えないけど、どこら辺が面白いと自分が感じているのかはわかるけど、この作品は、面白いけど、どう面白く感じているのか自分でも良くわかんないな、解説を読んだ後はリズム感なのかなと、とりあえず納得しているけど。