ドキュメント 戦争広告代理店

出版社/著者からの内容紹介
銃弾より「キャッチコピー」を、ミサイルより「衝撃の映像」を!!

演出された正義、誘導される国際世論。
ボスニア紛争の勝敗を決したのはアメリカPR企業の「陰の仕掛け人たち」だった。

スパイ小説を超える傑作ノンフィクション!!
NHKスペシャル民族浄化」で話題を呼んだ驚愕の国際情報ドラマ!

人々の血が流される戦いが「実」の戦いとすれば、ここで描かれる戦いは「虚」の戦いである。「情報の国際化」という巨大なうねりの中で「PR」=「虚」の影響力は拡大する一方であり、その果実を得ることができる勝者と、多くを失うことになる敗者が毎日生み出されている。今、この瞬間も、国際紛争はもちろん、各国の政治の舞台で、あるいはビジネスの戦場で、その勝敗を左右する「陰の仕掛け人たち」が暗躍しているのだ。――序章「勝利の果実」より

「おかしい、タイミングがよすぎる」
 上院での証言に合わせるかのように、自分を攻撃する情報が流布され、自らに対する周囲の見方が厳しくなったことで、マッケンジー将軍は、何か計画的な意図が働いている、と感じた。しかし、それが何なのか、具体的には分からなかった。
「そのときはPR企業の存在には気がつきませんでした。そうだ、これはPR企業の仕業だと思い当たったのは、しばらく時間がたってからのことでした」(P274)

タイトルにドキュメントと書いてあるので、小説○○とかそんな風な感じのタイトルが安っぽいような気がして、内容には興味あったけど、買うのを少し逡巡した。
国際的な舞台での政治的な駆け引きが面白い。国家が企業に頼んでPRしてもらっていて、PRの専門家がいたボスニアといなかったセルビアとでこんなにもはっきりと明暗が分かれてしまったのに驚いた。頭のいい人たちが裏舞台で暗躍(というと言葉が悪いけど)というのが好きなので楽しめた、それに自分たちに都合のいい事実は積極的に流していたけど、嘘の情報を流さなかったというのもフェアでいい(とはいっても、嘘がばれた時のリスクを考えた上でのことだろうけど)。こういう本もっと読みたい。